今日は、地方自治法上の「直接請求」について解説します。
そもそも「直接請求」とは何か?
まず手始めとして、直接請求とは何なのかについて触れておきましょう。
直接請求とは、
- 選挙権を有する住民が
- 直接
- 地方公共団体に
- 何らかの行為を請求するもの
です。
「あぁ、地方公共団体に直接請求するから直接請求なんだぁ」と覚えれば問題ありません。
ただし一点注意してください。
住民というのは、「選挙権を持った住民」です。
つまり、18歳未満の人や外国人は、その地方自治体に住んでいたとしても直接請求の権利がありません。
(この点が、住民監査請求と違っている部分です。そう、住民監査請求は直接請求ではないのです!)
そのため、直接請求の要件はすべて、有権者の〇以上、となっています。
どれだけの署名?どこに請求?誰が最終判断する?
ではいよいよ本題。
直接請求で大事なのは条文知識です。
つまり、
「〇〇を請求するときは、有権者の〇〇が、〇〇に対して請求し、最終的に〇〇が判断する」
という要件を、請求項目ごとに確実に押さえることが必要です。
直接請求できるものは以下の6つです。
条例に関するもの
(※地方税の徴収・分担金・使用料の徴収については請求できない)
監査に関するもの
解散に関するもの
解職(リコール)に関するもの
では、これらにつき、有権者総数のどれだけの署名が必要で、どこに対して請求し、どこが最終判断するのかを、どう覚えればよいでしょうか?
えぇと・・条例の改廃は、有権者の1/50で、長に対して請求して、議会で決める・・
といったように、一つ一つ機械的に覚えてもよいのですが、僕のオススメは、いくつかの手がかりを先に覚えておくことです。
そうすれば、仮に要件を忘れてしまっても、それを元に思い出すことが容易になるからです。
ではその手がかりをご紹介しましょう!
※1/3は 解散 か 解職 のみ(影響が重大なのでより多くの署名が必要)
※監査委員は監査しか受け付けない
※選挙管理委員会は解散か解職しか受け付けない
※監査の権限は、監査委員にしかないため
※役員クラスであれば、議会の議決で辞めさせてもOK
え、多い?
これ覚えるなら普通に覚えるのと変わらない?
まぁまぁそう言わないで・・(笑)
もちろんこれだけで全てを網羅できるわけではありませんが、かなり理解を助けることになるんですよ。
例えば、事務監査請求については、
1/3と1/50のどちらか?
→ 1/3は解散・解職だけだから、1/50で確定長と監査委員と選挙管理委員会のどれか?
→ 「監査」だから、監査委員に請求どこが最終判断するか?
→ 監査委員に対する請求だから、監査委員が最終判断
・・という風に判断ができるようになります。
条例の制定・改廃請求については、
1/3と1/50のどちらか?
→ 1/3は解散・解職だけなんだから、1/50で確定長と監査委員と選挙管理委員会のどれか?
→ 監査委員は監査のみだし、選挙管理委員会は解散・解職のみだから、長で確定どこが最終判断するか?
→ 長に対する請求は、必ず議会が最終決定
(※「20日以内に議会を召集し、結果を報告する」という点は別途覚えましょう)
議会の解散については、
1/3と1/50のどちらか?
→ 解散だから1/3で確定長と監査委員と選挙管理委員会のどれか?
→ 解散だから選挙管理委員会どこが最終判断するか?
→ 選挙管理委員会に対する請求は、必ず住民投票(過半数の賛成で決定)
・・という風になります。
この他に別途覚えるべきなのは、
といった点などでしょうか。
こうした細かい知識は、徐々に補って頂ければと思います。
ひとまず、上に書いた手がかりを覚えておけば、たとえ一部の要件をど忘れしてしまっても、比較的思い出しやすくなるはずです。
ぜひ武器の一つとして身に着けて頂ければと思います。
コメント
昇給試験のために勉強中の公務員です。たまたま行き着いたさいとですが、とてもわかりやすかったです。他のページも参考にさせてもらいます。