相続後の第三者との対抗関係。注目するのは〇〇の前後!

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久しぶりに民法の講義を書いてみます。

僕も受験生だったときに混乱したところなので、きっと同じように混乱されている方もいると思ったので説明したいと思います。

 

【問題】
Aが死亡しました。
Aには、BとCという相続人がおり、2人はA所有の土地を共同相続しました。
ところがBは、Cに無断で土地の全部を自分名義にし、Dに売却して登記を移転してしまいました。
Cは、自らの持ち分をDに対抗することができるでしょうか。

 

この手の問題を考えるとき、注目すべきなのは、「遺産分割の前か後か」です。

では、それを詳しく解説する前に、大前提となる知識を頭に入れておきましょう。
相続に関しては、順番があります。
簡単にイメージで覚えてください。

 

被相続人の死亡=共同相続 →→→→ 遺産分割

 

共同相続というのは、財産を複数の法定相続人が共有して相続することを言います。
そして大事なことですが、この共同相続は、被相続人が死亡した「その瞬間」に発生します!

何の手続きも必要ありません。
法律により、ただちに権利が発生します。

しかしですね、
財産が共有というのは、非常にややこしい状態なのです。

相続人が2人くらいであればまだいいかもしれません。
しかし、これが4人も5人もいたらどうなるでしょうか?
管理や、変更・処分のときなど、大変になることは目に見えています。

そのため、こんな分かりづらい状態は早めに解消するのが法的にも実務的にも理にかなっています。
そこで出てくるのが「遺産分割協議」です。

どの財産を誰がもらうのか、相続人たちが色々話し合って決めるという、ドラマなどでよく見るアレですね。
この協議によって、共有状態の財産を分割するのです。
税法上だと相続の開始を知ってから10ヶ月以内に申告することが求められていますが、民法上は、「いつでもできる」ということになっています。期間の制限はないのですね。

ということで、

 

被相続人の死亡=共同相続 →→→→ 遺産分割

 

という流れをしっかり頭の中に入れてください。

さて、では設問に戻りましょう。

 

【問題】
Aが死亡しました。
AにはBとCという相続人がおり、2人はA所有の土地を共同相続しました。
ところがBは、Cに無断で土地の全部を自分名義にし、Dに売却して登記を移転してしまいました。
Cは、自らの持ち分をDに対抗することができるでしょうか。

 

この場合、まだ共同相続しただけの段階です。
(遺産分割に関しては記述がありません)

するとどうなるでしょうか。

共同相続によって、土地はBとCの共有になっています。
それをBが勝手にCの持ち分も含めて売ってしまったわけです。
BはCの持ち分については無権利者ですから、無権利者から買ったDは、権利を取得することができません。

よってCは、登記なくしてDに対抗することができるのです。

 

さて、では次のケースを見てみましょう。

 

Aが死亡し、相続人BとCが土地を共同相続しました。
その後、遺産分割協議がなされ、その土地はCが単独で所有することになりました。
しかし、その登記がなされる前に、Bが自分の持分であった部分をDに売却して登記を移転してしまいました。
この場合CはDに対抗できるでしょうか?

 

はい、これは「遺産分割」がされた後のケースです。
この場合はどうなるでしょうか。

 

結論から言いますと、CはDに対抗できません!

 

えぇ!?なぜ??
・・そう思いますよね。

 

なぜか。

それは、遺産分割は、共有後の新たな物権変動だからです。

 

①土地は、共同相続によって、一旦はBとCの共有となります。
②その後、遺産分割によって、Cが全部を取得します。(権利の移転)

 

つまりBは、自分の持ち分をCに譲渡したわけです。
そして同時に、Dにも譲渡したのです。

お、どこかで見たことのある状況ですね?

そうです、「不動産の二重譲渡」と同じなんです。
不動産の二重譲渡における対抗要件は「登記」でしたよね。

 

だから、遺産分割後の第三者に対抗するためには登記が必要なんです。
この場合、先に登記を備えられてしまったCは、もはやDに対抗できないのです。

 

結局のところ、2つの違いは、

●無権利者が譲渡している → 登記なしで対抗できる
●権利者が二重に譲渡している → 登記が対抗要件となる

ということなのですが、
それを判断する際の材料となるのが、「遺産分割の前か後か」ということです。

考えるときのヒントになりますので、ぜひ覚えておいてください。

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