「時効」の重要ポイントまとめ(放棄・中断編)

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前々回前回に引き続き「時効」がテーマです。

今回は「放棄」「中断」についてみていきましょう。

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放棄

時効の利益の放棄とは、「時効をもう主張しません」という意思表示をすることです。
放棄をすると、もはや援用することができなくなります。責任感を感じますね。

さて、この放棄ですが、いつでもできるわけではありません。
時効が完成してからでなければできないことになっています。

なぜ先に放棄できないかというと、債権者が債務者が困っていることをいいことに、時効の利益をあらかじめ放棄させる契約を結ばせたりと、債務者に不利な状況が生じないように配慮されたためです。

[重要ポイント]放棄は、時効完成前にはできない

中断

時効の中断とは、それまで進んでいた時効の期間がチャラになることをいいます。
「中断」という言葉を見て、なんとなく「一時停止」みたいなイメージを思い浮かべてしまいますが、そうではありません。イメージとしては「ふりだしに戻る」です。

なので、たとえば10年の時効があった場合に、9年11か月目で時効の中断事由が生じると、それまでの期間は完全にリセットされます。

時効の中断事由は大きく3つに分類されます。

①債権者が裁判上の請求をしたとき
②債権者が差押え・仮差押え・仮処分をしたとき
③債務者が債務を承認したとき

裁判上の請求について

よく誤解されがちですが、「催告」では時効は中断しません。
催告とは弁済しろと請求する行為全般のことですが、「裁判上の請求」とは異なるものです。
裁判所が絡んでいないと時効中断の効力は生じないのです。

ただ、じゃあ「催告」はまったく役に立たないかというとそうでもありません。
たとえば債権者が請求するのをすっかり忘れていて、気が付いたらもう時効完成の直前、ということもあると思います。

そうすると裁判上の請求をしても間に合いませんので、まず催告をしておくという方法があります。(ほとんどの場合、内容証明郵便が使われます)

この催告後、6か月以内に裁判上の請求を行えば、催告の時点にさかのぼって時効が中断することになります。

[重要ポイント]催告してから6か月以内に裁判上の請求をすれば、催告の時点にさかのぼって時効が中断する。

ちなみに、裁判上の請求をしても、それが却下または取り下げられた場合は、時効は中断しません。

債務の承認について

債務の承認とは、債務者が債務の存在を認めることをいいます。
前回の投稿もご覧ください)

さて、この債務の承認について問われる可能性があるのは、承認をしたのが制限行為能力者だったら?というケースです。
ご存知の通り、制限行為能力者には4種類あります。

・未成年者
・成年被後見人
・被保佐人
・被補助人

このうち、単独で債務の承認ができるのは誰でしょうか?

答えは「被保佐人」「被補助人」の2人です。

なぜこの2人ができるのかというと、「承認」というのは法律行為ではなくて、観念の通知と考えられているからです。
(新たに債務を負うわけではなく、単に「債務があることは分かっています」と表示するだけのこと)
よって、処分能力や権限までは必要はなく、財産の管理能力や管理権があれば足りるとされているのです。
(逆に、未成年者と成年被後見人には管理能力もないので、単独ではできません)

[重要ポイント]債務の承認を単独でできるのは「被保佐人」「被補助人」である。

 

なお、ここで一つ、ひっかけに注意してください。
被保佐人については、「時効の中断における債務の承認」は単独でできますが、「時効完成後の債務の承認」には保佐人の同意が必要です!

なぜかというと、時効が完成した後の承認は、せっかくの時効の利益を自ら放棄することであって、見方を変えれば「新たに債務を負う行為」でもあるわけです。
つまり、これは民法13条に規定されている「保佐人の同意を要する行為」の「借財をすること」が類推されることになるのです。

[重要ポイント]被保佐人は、時効完成の債務の承認には保佐人の同意が必要である。

 

押さえておくようにしてください。

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