「時効」の重要ポイントまとめ(放棄・更新編)

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前々回前回に引き続き「時効」がテーマです。

今回は「放棄」「更新」についてみていきましょう。
(※2020年の民法改正により、「中断」は「更新」と名称が変更されました)

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放棄

時効の利益の放棄とは、「時効をもう主張しません」という意思表示をすることです。
放棄をすると、もはや援用することができなくなります。責任感を感じますね。

さて、この放棄ですが、いつでもできるわけではありません。
時効が完成してからでなければできないことになっています。

なぜ先に放棄できないかというと、債権者が債務者が困っていることをいいことに、時効の利益をあらかじめ放棄させる契約を結ばせたりと、債務者に不利な状況が生じないように配慮されたためです。

放棄は、時効完成前にはできません

更新

時効の更新とは、それまで進んでいた時効の期間がリセットされることをいいます。
イメージとしては「ふりだしに戻る」です。

なので、たとえば10年で時効が完成するものに、9年11か月目で時効の更新事由が生じると、それまでの期間は完全にリセットされます。

時効の更新事由は大きく3つに分類されます。

①債権者が裁判上の請求をしたとき
②強制執行がされたとき
③債務者が債務を承認したとき

裁判上の請求について

よく誤解されがちですが、「催告」では時効は更新しません。
催告とは弁済しろと請求する行為全般のことですが、「裁判上の請求」とは異なるものです。
裁判所が絡んでいないと時効更新の効力は生じないのです。

ただ、じゃあ「催告」はまったく役に立たないかというとそうでもありません。
たとえば債権者が請求するのをすっかり忘れていて、気が付いたらもう時効完成の直前、ということもあると思います。

そうすると裁判上の請求をしても間に合いませんので、まず催告をしておくという方法があります。(ほとんどの場合、内容証明郵便が使われます)

この催告後、6か月以内に裁判上の請求を行えば、催告の時点にさかのぼって時効が更新することになります。

催告してから6か月以内に裁判上の請求をすれば、催告の時点にさかのぼって時効が更新します

ちなみに、裁判上の請求をしても、それが却下または取り下げられた場合は、時効は更新しません。

債務の承認について

債務の承認とは、債務者が債務の存在を認めることをいいます。
前回の投稿もご覧ください)

さて、この債務の承認について問われる可能性があるのは、承認をしたのが制限行為能力者だったら?というケースです。
ご存知の通り、制限行為能力者には4種類あります。

・未成年者
・成年被後見人
・被保佐人
・被補助人

このうち、単独で債務の承認ができるのは誰でしょうか?

答えは「被保佐人」「被補助人」の2人です。

なぜこの2人ができるのかというと、「承認」というのは法律行為ではなくて、観念の通知と考えられているからです。
(新たに債務を負うわけではなく、単に「債務があることは分かっています」と表示するだけのこと)
よって、処分能力や権限までは必要はなく、財産の管理能力や管理権があれば足りるとされているのです。
(逆に、未成年者と成年被後見人には管理能力もないので、単独ではできません)

「被保佐人」「被補助人」は単独で債務の承認ができます

 

なお、ここで一つ、ひっかけに注意してください。
被保佐人については、「時効の更新における債務の承認」は単独でできますが、「時効完成後の債務の承認」には保佐人の同意が必要です!

なぜかというと、時効が完成した後の承認は、せっかくの時効の利益を自ら放棄することであって、見方を変えれば「新たに債務を負う行為」でもあるわけです。
つまり、これは民法13条に規定されている「保佐人の同意を要する行為」の「借財をすること」が類推されることになるのです。

被保佐人は、時効完成の債務の承認には保佐人の同意が必要です
【改正対応】被保佐人が保佐人の同意を要する行為をざっくり押さえる
「制限行為能力者」は、未成年、成年被後見人、被保佐人、被補助人の4つがありますが、このうち未成年者を除く3つはいずれも「精神上の障害により事理弁識能力に問題がある者」です。成年被後見人:事理弁識能力を欠く常況にある者日常生活に関する行為は単

 

民法
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コメント

  1. ふじい より:

    仮差押えや仮処分では時効は更新されないのではなかったでしょうか。

    • Yutaka_0125 より:

      改正で取扱いが変わっていましたね。
      ご指摘ありがとうございます。