今回のテーマは「堀木訴訟」です。
障害年金と児童扶養手当の併給を禁止している児童扶養手当法の規定が、憲法に違反しないか争われた事例です。
事件の概要
全盲のために障害年金を受給していたAは、夫と離婚して1人で子供を育てることとなった。
そこで、児童扶養手当を受給するため、知事に請求したが、当時の児童扶養手当法には障害年金との併給を禁止する規定があったため知事はこの請求を退けた。
Aはこれは憲法違反であるとして訴えた。
参照条文
第25条
すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。
すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。
押さえておくべきポイント
●憲法25条の「生存権」について具体的にどのような措置を講ずるかは、立法府に裁量がある。
●裁量の逸脱または濫用がない限り合憲である。
●障害年金を受給している者が児童扶養手当を受給できないとしても違憲ではない。
憲法25条の『健康で文化的な最低限度の生活』というのはそもそもすごく曖昧な概念であって、時代によって常に移り変わるものです。
よって、その時々に立法府が決めるものとされています。
「生存権」とは、国民に具体的権利が与えられているのではなく、政府に指針を与えているものとされています。
これを「プログラム規定説」といいます。
よって、立法府に裁量の逸脱や濫用がない限りは合憲とされます。
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