不動産物権変動で、登記なしでも対抗できる6つのケース

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「物権」の変動は、意思表示の時に生じるのが原則です。

民法176条
物権の設定及び移転は、当事者の意思表示のみによって、その効力を生ずる。

つまり、物権変動は、お互いに意思表示をした時=「契約時」に生じます。
その他の行動(たとえば引渡しや登記)は必要ありません。
これを「意思主義」といいます。

(※特約で移転時期を定めた場合などを除きます)

 

しかし、当事者間では有効に物権変動が生じたとしても、第三者が絡んでくると「対抗問題」が発生します。

例えば、AがBに建物を譲渡するという契約をした場合、それが口約束に過ぎなくても、所有権はBに移転します。
しかしその後、善意のCが登場して、Aから建物を買って先に登記を備えた場合は、Cが所有権を取得します。

 

つまり、当事者間では有効に物権変動したはずでも、「対抗要件」を備えなければ第三者に対抗することはできません。

 

不動産の対抗要件は「登記」
動産の対抗要件は「引渡し」

 

しかし、不動産に関しては一部の場合に限って、登記なしで対抗できる場合があります。
以下の6つはそのまとめです。チェックしておきましょう。

 

①背信的悪意者に対して

先の例でいえば、Cが背信的悪意者であった場合は、たとえCが登記を備えていてもBは対抗できます。背信的悪意者は保護に値しないからです。

(※ただし、背信的悪意者からの転得者に対しては、転得者自身も背信的悪意者とされない限りは、登記がなければ対抗できません

 

②無権利者と、その譲受人に対して

相手が無権利者だった場合は、そもそも保護に値しないので、登記なしで対抗できます。
そして無権利者からの譲受人に対しても、同様に登記なしで対抗できます。

 

③詐欺による取消し「前」の善意の第三者が、元の所有者に対して

以下のようなケースで考えましょう。

Dは詐欺にあい、自ら所有する不動産をEに売却しました。
Eはその不動産を善意の第三者Fに転売しました。
その後、DはEとの契約を詐欺を理由に取り消しました。

Fは、Dが取消すよりも前に存在しています。
この場合、善意のFを保護しなければ取引の安全が図れないので、FはDに対して登記なしで対抗できます。

 

④時効取得者が、時効完成前の第三者に対して

そもそも時効完成前に登記を備えることはできないので、登記は対抗要件になりません。
こちらについては「時効の重要ポイントまとめ」で詳しく触れていますのでご覧ください。

 

⑤売主が死亡した場合の相続人に対して

GはHから不動産を購入する契約を結びました。
しかしHは死亡し、その相続人Iは不動産の所有権は自己にあると主張しました。

この場合、GはIに対して登記なしで所有権を主張できます。
相続人は、元の売主と同一の存在とみなされるからです。

 

⑥相続人が、相続放棄をした人の債権者に対して

JとKは不動産の相続人であったが、Jは相続放棄をし、Kが相続した。
しかしJは相続放棄をしたにもかからず自己名義の登記を行い、Jの債権者はそれを知らずに不動産を差押えた。

この場合、Kは登記なしで債権者に対抗できます。
相続放棄をしたことによりJは無権利者となりますから、②と同様の扱いになるのです。

 

以上6パターン、頭に入れておきましょう。

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