【行政事件訴訟法】「処分性」がないとされた判例と、あるとされた判例

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行政事件訴訟法における取消訴訟の要件は、「処分性」「原告適格」「(狭義の)訴えの利益」「出訴期間」「裁判管轄」「被告適格」の6つです。
何度も言いますが、これを満たさない訴えは却下となります。(※棄却ではありません)

今回はこのうち、「処分性」について注目します。
 

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「処分性」とは

「処分性」とは、行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為であることをいいます。
違う言葉でいえば、「公権力を行使して、国民の権利義務に直接影響を与えること」です。

そのため、行政庁が行う行為であっても、必ずしも処分性があるわけではありません。権力的な行為でなかったり、国民の権利義務に直接影響を及ぼさない行為には処分性はないことになります。

例えば、行政主体が私人などと対等の立場で契約を結ぶ「行政契約」は、非権力的な活動なので処分性はありません。また、行政組織内部における「訓令」「通達」なども、一般国民に直接影響を与えないので処分性はありません。

一方で、「行政指導」は原則として処分性はありませんが、例外的に処分性が認められるケースもあります。

このように、処分性があるのかないのかを、具体例でしっかり判別できるようにしましょう。
ちょっと多いですけど、頑張って覚えてくださいね。

 

処分性がないとされた事例

知事に対する消防庁の同意に処分性はない
(行政機関相互の行為であって、国民の権利義務に直接影響を与えるものではないから)
「墓地・埋葬に関する法律」の解釈に関する厚生省の通達に処分性はない
(通達は行政内部の命令に過ぎないので、一般国民を拘束するものではないから)
水道料金を値上げする条例の改正に処分性はない
(限られた特定の者に対してのみ適用されるものではないから)
都市計画法に基づく用途地域の指定に処分性はない
(不特定多数の者に対する一般的抽象的な制約に過ぎないから)
農地法に基づく農地の売払いに処分性はない
(一旦国が買い上げた農地を元の地主に返す行為は、私法行為であるから)
国有財産の払下げに処分性はない
(私法上の売買と同じ行為であるから)
ごみ焼却場の設置に処分性はない
(議会による計画案は内部の手続行為でしかないから)
都市計画法における公共施設の管理者の同意拒否に処分性はない
(同意の拒否は、国民の権利義務に直接影響を及ぼすものではないから)

 

処分性があるとされた事例

2項道路の一括指定告示には処分性がある
(要件を満たす土地に具体的な法律効果を及ぼすから)
病院開設中止の勧告には処分性がある
(行政指導ではあっても、従わない場合は医療保険が使えなくなり、開設を断念せざるを得なくなるから)
食品衛生法に基づく通知には処分性がある
(関税法上の検査完了確認が受けられず、輸入許可が得られなくなるから)

※「通知」を「通達」と読み間違えないように注意!
通知も原則として処分性はありませんが、例外的に認められる場合があります。

労災就学援護費の支給決定には処分性がある
(対象となる労働者や遺族の権利に直接影響を及ぼすから)
保育所の廃止を定める条例の制定行為には処分性がある
(児童や保護者の法的地位を奪う結果が生じるため)
供託金取戻請求に対する供託官の却下処分には処分性がある
(行政機関として取戻請求の可否を判断する権限が供託官にはあるから)
第二種市街地再開発事業計画には処分性がある
(市町村が収用権限を取得し、土地所有者は収用される立場になるので、権利関係に直接的な影響を及ぼすから)
土地区画整理事業の事業計画には処分性がある
(該当区域の宅地所有者は、建築行為の制限を受けたり、換地処分を受ける地位に立たされるから)

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