「婚外子国籍訴訟」を分かりやすくまとめました

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今回のテーマは「婚外子国籍訴訟」です。
子が出生した時点で、父と法律上の親子関係がない場合、その子は日本国籍を取得しないという国籍法の規定が憲法第14条「法の下の平等」に違反しないかが争われた事例です。

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事件の概要

結婚していない日本人の父とフィリピン人の母から子供らが生まれた。
父はその後、結婚はしないまま子供らを認知し、子供らに日本国籍を得させようとしたが、当時の国籍法においては生後に認知をうけたが夫婦が結婚していない場合は国籍の取得を認めていなかった。
そこで子供らが原告となり、この国籍法の規定は憲法14条に定める「法の下の平等」に違反するとして訴えた。

押さえておくべきポイント

●父母の婚姻によって嫡出子となるか否かは、子にとっては自らの意思や努力によっては変えることのできない事柄である。

父母が婚姻していないというだけで日本国籍が取得できないのは差別的取扱いである。

●よって、国籍法3条1項は違憲である。

 

数少ない違憲判決の一つです。

当時の国籍法では、父母の一方が外国人である非嫡出子の国籍取得に関しては以下のような規定になっていました。

 

母が日本人の場合 出生と同時に日本国籍を取得できる
父が日本人の場合 胎児のうちに認知していれば日本国籍を取得できる
生後に認知して父母が婚姻すれば日本国籍を取得できる
生後に認知しても父母が婚姻しなければ日本国籍を取得できない

つまり、父が日本人の場合、認知していても婚姻していなければ、国籍の取得ができなかったのです。
裁判では、「立法当時(1984年)には合理性があったが、その後の社会環境の変化で、立法目的との関連性はもう見いだせなくなった」として、違憲判決を下しました。

違憲判決については数が限られているので、憲法判例を学ぶ際は必ずチェックしておきましょう。

憲法を学ぶときは、まずは違憲判決をチェック!
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憲法
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コメント

  1. やっぴ より:

    間違っていませんか?
    そもそも、国籍法3条1項は、法律上の婚姻関係にない日本国民である父と日本国民でない母との間に出生した子で、父から胎児認知を受けていないものに限り適用される規定であり、生後認知の有無は問題になっていないと思われます。
    この判決は、日本国民である父の非嫡出子について、父母の法律上の婚姻により嫡出子たる身分を取得した者のみが日本国籍を取得することができるとした点において、憲法14条1項違反が争われた判決です。