「代価弁済」と「抵当権消滅請求」の違いのまとめ

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抵当権が設定されている不動産が第三者の手に渡った場合、その抵当権を消滅させる方法には「代価弁済」「抵当権消滅請求」があります。

「どっちがどっちにするんだっけ?」と混乱しがちな部分ですよね。

今回はこれをかみ砕いて見ていきましょう。

 

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まずはそれぞれの条文をチェック

第378条(代価弁済)
抵当不動産について所有権又は地上権を買い受けた第三者が、抵当権者の請求に応じてその抵当権者にその代価を弁済したときは、抵当権は、その第三者のために消滅する。
第379条(抵当権消滅請求)
抵当不動産の第三取得者は、第383条の定めるところにより、抵当権消滅請求をすることができる。

 

一番大きな違いは、どちらがどちらに対して話を振っているのか、という点ですね。

 

ここで、「抵当権者」とか「第三取得者」という言葉を使っていると理解しづらいため、例によってキャラクターに登場してもらいましょう。

抵当権者:兵藤
債務者 :
第三取得者:カイジ

▼現在の状況

Aは兵藤に借金をしていて、その借金のカタとして自らが所有する不動産に抵当権を設定しています。カイジはその不動産をAから取得したところです。

それでは先ほどの内容に戻りましょう。

代価弁済とは

兵藤「カイジ君・・売買代金をAにではなく私に弁済してくれたら、抵当権を消滅させてあげよう」

というものです。
兵藤(抵当権者)の方から代価を弁済するようにもちかけているわけですね。

抵当権消滅請求とは

カイジ「兵藤っ・・! ▲▲円払うから、抵当権を消滅してくれっ・・!」

というものです。
こちらはカイジ(第三取得者)の方から抵当権の消滅を請求しているわけですね。
ちなみに金額はカイジが自由に提示できます。

 

これでちょっとは区別がつきやすくなりましたでしょうか。

 

細かい違いもチェック

さて、一番大きな違いを理解したところで、ついでに細かい違いも押さえておきましょう。

代価弁済できる者は?

代価弁済の場合、カイジは「売買」によって「所有権」または「地上権」を得ていることが条件です。カイジがAの保証人だった場合でも代価弁済はできます。

なお、取得原因は「売買のみ」という点に注意してください。

・カイジがAから贈与によって得ていた場合

は代価弁済できません。
そもそも「売買代金を払ったら」というのが前提ですから、贈与(無償)ではそれが満たせませんよね。

カイジが買ったものが「地上権」だった場合は、代価弁済しても抵当権は消滅せず、地上権を抵当権に対抗できるようになります。

抵当権消滅請求できる者は?

抵当権消滅請求の場合、カイジは「売買」「贈与」によって「所有権」を得ていることが条件です。

ただし、

・カイジがAの保証人だった場合
・カイジがAから相続によって得ていた場合
・カイジが得たものが地上権だった場合

は請求できません。
保証しなければいけない立場の人が消滅請求できるなんて虫が良すぎますし、相続はAの地位を承継するからです。
(代価弁済において保証人の弁済が認められているのは、あくまで抵当権者からもちかける形だからです)

カイジが抵当権消滅請求をすると、2か月以内に兵藤(抵当権者)は「請求に応じるか」「競売をするか」を選択しなければならなくなります。そのような強力な権利を行使できるのは所有権者のみなのです。よって地上権者は請求できません。

 

まとめるとこんな感じです

代価弁済  ― 抵当権消滅請求
兵藤 誰が言い出すか カイジ
売買のみ カイジの取得原因 売買や贈与など
(×相続)
所有権または地上権 カイジが取得したもの 所有権のみ
認められる カイジが保証人だった場合 認められない

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