今回のテーマは「法令用語」です。
普段条文を読んでいるときにはあまり気にしていない言葉ですが、実はキチンと使い分けされていることを知っていましたか?
これから何回かに分けてやっていきますので、しっかりと区別が付けられるようにしておきましょう。
「又は」「若しくは」の違い
「又は」と「若しくは」は、両方ともいずれかを選択する場合に使われる言葉です。
ですが、「又は」の方が大きな接続に使われます。
「若しくは」は、それよりも小さな接続の場合です。
例えばお昼ご飯にカレーかラーメンを食べたいと思ったとします。
すると候補は
カレー 又は ラーメン
となります。
しかし、ラーメンにも色々な種類がありますよね。
もしラーメンだったら醤油ラーメンか味噌ラーメンにしたいと思っていた場合は
カレー 又は 醤油ラーメン若しくは味噌ラーメン
のように書くことになります。
お分かりでしょうか。
「又は」で大きなグループを接続し、その中の小さな接続で「若しくは」を使うのです。
(「若しくは」は単体では使われず、必ず「又は」の中で使われます)
さらにカレーにも候補を増やすと
ビーフカレー若しくはチキンカレー 又は 醤油ラーメン若しくは味噌ラーメン
なんて使い方もできます。
それではこれを踏まえて、実際の条文を見てみましょう。
皇室に財産を譲り渡し、又は皇室が、財産を譲り受け、若しくは賜与することは、国会の議決に基かなければならない。
「皇室に財産を譲り渡すこと」 又は 「皇室が財産を譲り受けること」若しくは「皇室が財産を賦与すること」
となっていますね。
「(誰かが)皇室に」というグループと、「皇室が(誰かに)」というグループを、「又は」で分けているわけです。
そしてさらに「皇室が(誰かに)」の中にある2つの事柄を「若しくは」で並べているのです。
カレー 又は 醤油ラーメン若しくは味噌ラーメン
のパターンと同じですね。
3つ以上あったらどうなるの?
もし3つ以上のものから選ぶ場合は、最後にだけ付けます。
つまり
カレー、ラーメン 又は パスタ
のようにします。
さらにカレーの選択肢が増える場合は
ビーフカレー若しくはチキンカレー、ラーメン 又は パスタ
のようになります。
ちょっとややこしくなりましたね。
さらに選択肢を増やすと
ビーフカレー、チキンカレー若しくはポークカレー、醤油ラーメン若しくは味噌ラーメン 又は ミートソース若しくはペペロンチーノ
というようになります。
最後はちょっと混乱しそうになったかもしれませんが、「又は」は大きな接続で、「若しくは」はその中の小さな接続で使うと覚えておけば大丈夫です。
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