行政行為の分類はどこまで覚えるべき?

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行政法を勉強していくと、最初の方に「行政行為の分類」というものを学びますよね。
こんなツリー構造の図を見たことないでしょうか。

 

Wikipediaより)

正直、あんまり覚える気にならなくないですか?(笑)
僕はあまり覚えたいとは思いませんでした。

もちろん覚えられるのであれば覚えた方がいいと思います。
ただ、素直に全部を覚える必要はないと思います。

重点的に覚えるべき部分と、そうでもない部分があるので、今回はそれを区別していきましょう。

 

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<法律行為的~>から、許可・特許・認可の3つを覚える

まずは、法律行為的行政行為の中から、「許可」「特許」「認可」の3つを押さえましょう。

法律行為的行政行為とは、行政庁の意思表示によって成立する行政行為です。
意思があるということは、そこに裁量があるということでもありますね。

どういった具体例があるのかも含めて覚えておきましょう。

異議 具体例
許可 一般的な禁止を特定の場合に解除する行為 自動車運転免許
・飲食店営業
・風俗店営業
特許 特別の権利や能力を設定する行為
特別に認めてあげること)
公有水面埋立の免許
漁業権の設定免許
鉱業権の設定許可
一般ガス事業の営業許可
道路の占用許可
外国人の帰化の許可
認可 私人間の法律行為を補充してその効果を完成させる行為
行政が「OK」と認めて初めて効果が生じる
農地権利移動の許可
・公共料金改定の認可
・銀行合併の認可
・河川占有権譲渡の承認
・一般ガス事業者の供給約款の認可

具体例で「~の許可」と使われていても、実際の分類は「特許」や「認可」に当たるものがあるので要注意ですね。

覚え方のヒントとしては、

「一般人が気軽に許されるようなものじゃない」免許や許可は、だいたい「特許」です。
電気やガスの供給、バスや鉄道の運送など、公共事業に関する許可などは特許ですね。

一方、「~の許可」となっているけど実は「認可」にあたるのは、「農地権利移動」だけだと思っておけばOKです。
(※建設業許可も認可にあたりますが、テキスト等でほぼその記述を見ないのでたぶん試験には出ないでしょう)

ちなみに、「~の認可」と書いてある場合は、そのまま「認可」です。

 

法律行為的行政行為には、行政庁に裁量があります。しかし
「許可」は、一定の基準さえ満たせば誰でも許可されるため、行政庁の裁量はそれほど広くありません。(羈束裁量)
「特許」は、誰に権利を与えるかは行政庁の裁量が広く認められています。(自由裁量)

 

<準法律行為的~>から、確認・公証の2つを覚える

次に、準法律行為的行政行為の中から、「確認」「公証」の2つを押さえましょう。

準法律行為的行政行為とは、行政庁の意思とは関係なく、法律の規定によって成立する行政行為です。
意思がないので裁量はありません。(※)

※「確認」においては、裁量が全くないわけではなく、一定の裁量が認められる場合もあります。(参考判例

 

異議 具体例
確認 特定の事実や法律関係の存否を公的に判断する行為 建築確認
発明の特許
・選挙の当選人決定
公証 特定の事実や法律関係の存否を公に証明する行為 運転免許証の交付
選挙人名簿への登録
・印鑑証明
・各種証明書の交付

 

確認と公証は似ていますが、確認は「法律に適合しているか?」などを判断する行為であるのに対し、公証争いのない事実や法律関係について公に証明する行為という違いがあります。

「発明の特許」は、先ほど出てきた「特許」にはあたらず、「確認」であることに注意してくださいね。
これは特許権が出願人に存在していることを確認する行為だからです。

また、運転免許については、免許そのものは「許可」にあたりますが、免許証の交付は「公証」にあたります。

こうした、ちょっとややこしい部分は、繰り返し学んで覚えていきましょう。

 

残りの「下命」「免除」「代理」「通知」「受理」については、余力があったら見ておくぐらいでいいと思います。

 

行政法
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コメント

  1. 吉村孔志 より:

    ご迷惑をおかけします。
    行政書士資格取得の猛勉強中ですが、貴サイトを大いに参考にさせていただいております。また、将来、建設業の開業も企図しています。
    さて、法律行為的行政行為の「許可」「特許」「認可」について、建設業許可申請が構学上の「認可」とされていますが、「私人間の法律行為を補充してその効果を完成させるもの」に該当するとは考えが及びません。建設業許可申請は、行政庁に対するもので、「私人間の・・・」に関連性はないと愚考するところです。
    恐縮ですが、ご指導いただければ幸甚です。

    • gyoseishoshi より:

      吉村さん、こんにちは。
      確かに仰る通り、違和感を感じる分類ですよね。
      こちらについては、どのような理由で認可に分類されているかまでは把握しておらず、調べた範囲でそう分類されていたのでその通り書いた、というのが正直なところです。
      当時どこで調べたのか失念してしまいましたが、今検索してみた限りではWikipediaやリラックス法学部には記述があるようです。
      出典としては微妙で申し訳ないです。
      Wikipedia:https://bit.ly/2DvmDY7
      リラックス法学部:https://bit.ly/2S6Cp3G
      ただ、他の媒体で「認可」に分類している記述を見ないので、正直微妙な気は致します。
      帰宅後にもう一度テキストを調べなおして、確証が得られなかった場合は、この部分を記事から削除致しますね。
      ご指摘ありがとうございます。

      • 吉村孔志 より:

        お世話になります。
        拝見いたしました。
        小生所有の通信教育テキストにも建設業許可が法律行為的行政行為のどれに当たるかさえ、記載がありませんでした。現実的に建設業許可をほぼ専門とする書士が多くおられるところ、不思議です。
        ご丁寧なご対応、感謝とともに引き続き、ご指導賜りますよう、お願いいたします。

        • gyoseishoshi より:

          吉村さん
          こちらこそコメントありがとうございました。
          引き続き当ブログをご愛顧頂ければ幸いです。

        • 大五郎 より:

          勉強不足でしたら申し訳ないございませんが「一般ガス事業の許可」は「特許」ではなく「認可」ではないですか?
          H19年の過去問題集にでも出ておりました。

          • Yutaka_0125 より:

            ガス事業を「新たに始める」ときは特許です。
            ガス事業の「供給約款」については認可です。

  2. 大五郎 より:

    返信ありがとうございます????‍♂
    お陰様で一歩でも深く調べ勉強になりました。
    今後も活用させていただきます。