憲法前文の「規範性」について

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憲法には「前文」というものがあります。
(読み方は「ぜんぶん」ですが、「全文」と紛らわしいので「まえぶん」ということも多いですね)

憲法のいわゆる三大原理と呼ばれる、「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」が示されている部分でもあります。

今回はこの前文についてのお話です。

 

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その① 前文に法的拘束力はあるのか?

昨今、憲法改正が話題になっていますよね。
憲法9条に自衛隊を明記すべきか否か?といった部分が焦点のようです。

もし9条を改正しようと思ったら、国会で各議院の総議員の3分の2以上で賛成して発議し、国民投票で過半数が賛成することが必要です。

では、前文を改正しようと思った場合はどのような手続きが必要でしょうか?
単に「まえがき」みたいなものだから、本文と違って簡単に変えられるでしょうか。

いいえ、そうはいきません。

実は、「前文」も憲法の一部なので、まったく同じ手続きが必要となります。

そして前文も、本文と同様、国の最高法規としての法的拘束力を有しているのです。
これを「法規範性」といいます。

憲法であることに変わりはありません。前文をナメてはいけないのです。

 

その② 前文を根拠に、裁判を起こすことはできるのか?

さて、前文に法的拘束力があるということは分かりました。
つまり、前文であっても、これに反するようなことは許されません。

では、前文を根拠に裁判で争うことはできるでしょうか?

例えば、「この法律は、憲法前文に違反している」といったような訴訟を提起することができるでしょうか?

答えはNOです。

前文にいくら法的拘束力があるとはいっても、争訟を裁く根拠としては抽象的過ぎるからです。
裁判の基準としては、具体的な個別の条文が使われることとなります。

このように、裁判の際の基準として用いられ、判決で執行できる規範性のことを「裁判規範性」といいます。

つまり、前文には「裁判規範性」がないのです。

 

法規範性:〇(ある)
裁判規範性:×(ない)

 

この2つの規範性については押さえておきましょう。

 

前文穴埋めにチャレンジ

最後に、前文の穴埋め問題を出しておきますね。
この内容にも法的拘束力が及ぶと思って、心して読み、空欄を埋めてみましょう。

日本国民は、正当に選挙された( 1 )における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との( 2 )による成果と、わが国全土にわたって自由のもたらす( 3 )を確保し、政府の行為によって再び( 4 )が起ることのないやうにすることを決意し、ここに( 5 )が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な( 6 )によるものであって、その( 7 )は国民に由来し、その( 8 )は国民の代表者がこれを行使し、その( 9 )は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。

日本国民は、恒久の( 10 )を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって、(10)を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの( 11 )と( 12 )を保持しようと決意した。われらは、(10)を維持し、専制と( 13 )、圧迫と( 14 )を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と( 15 )から免かれ、(10)のうちに生存する権利を有することを確認する。

われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであって、( 16 )の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の(5)を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。

日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。

1 国会
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6 信託
7 権威
8 権力
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11 安全
12 生存
13 隷従
14 偏狭
15 欠乏
16 政治道徳

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