行政手続法において毎年のように問われるのが、「法的義務」なのか「努力義務」なのか、という点です。
今回は特に出題されやすい「申請に対する処分」と、「不利益処分」について整理していきましょう。
(ここは理屈で覚えた方が理解しやすい部分だと思いますので、理由を添えておきますね)
申請に対する処分について
義務 or 努力 | 理由 | |
---|---|---|
審査基準の設定 | 義務 | 基準が分からないと、申請者が困るため |
審査基準の公開 | 義務 ※ただし、行政上特別の支障がある場合は非公開OK |
|
標準処理期間の設定 | 努力 | 処理に時間がかかる申請もあるので、一概に決められないため |
標準処理期間の公開 | 定めた場合は、公開が義務 | 公開しないと、定めた意味がないため |
審査開始 | 義務 | 義務にしないと、いつまでも審査しないことが許されてしまうため |
拒否の理由の提示 | 義務 ※数量や客観的指標が明らかに適合しない場合は、申請者の求めに応じて示せば足りる ※拒否を書面でする場合は、理由も書面で示す |
なぜ拒否されたのか分ためなければ、直しようがないため |
情報の提供 | 努力 | 毎回応じていると、行政庁の業務に支障が出るため |
公聴会の開催 | 努力 | 毎回公聴会を開いていたら手続きが大変になるため |
「理由の提示」は、↓↓の不利益処分も同様に義務です。
“なぜその処分があったのか”を伝えることは、行政手続法の目的である「公正の確保と透明性の向上」を図る上で重要だからですね。
不利益処分について
義務 or 努力 | 理由 | |
---|---|---|
処分基準の設定 | 努力 | 事案ごとに検討が必要で、一概に決められないため |
処分基準の公開 | 努力 | 基準を公開すると、その抜け穴を利用される恐れがあるため |
理由の提示 | 義務 ※差し迫った必要があるときは、処分後相当期間内に示せばOK ※書面でする場合は、理由も書面で示す |
理由が分からなければ、不服申立てができないため |
意見陳述手続 | 義務 ※公益上緊急に不利益処分が必要であれば省略可能 |
反論の機会がなければ、行政庁がやりたい放題できてしまうため |
黄色いマーカー部分の例外もしっかり覚えておいてくださいね。
原則だけを覚えていて、例外でひっかかってしまうのはもったいないですから。
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