【行政事件訴訟法】「新潟空港訴訟」を分かりやすくまとめました

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今回のテーマは「新潟空港訴訟」です。

行政事件訴訟法上の原告適格における「法律上の利益を有する者」の判断基準が示された事例です。

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事件の概要

運輸大臣が航空会社に対して定期航空運送事業免許を与えたところ、空港の周辺住民が「航空機の騒音により健康や生活上の利益が侵害される」として処分の取消を求めた。

 

争点

・行政処分の相手方ではない第三者(周辺住民)に原告適格が認められるか?(法律上の利益を有するか?)

 

押さえておくべきポイント

「法律上の利益を有する者」とは、処分によって「自己の権利」もしくは「法律上保護された利益」を侵害された(もしくは侵害のおそれがある)者である。

●処分の根拠法が、不特定多数の公益だけでなく、個々人の個別的利益も保護する趣旨を含む場合には、それも「法律上保護された利益」に当たる。

●そうした趣旨を含むかどうかは、根拠法のほか、関連法規も含めた法体系の中で考慮して判断する。

空港周辺の住民には、免許の取消しを求める法律上の利益がある。

今回の処分の根拠法となったのは「航空法」です。
しかし最高裁は、「航空法」だけでなく、その「関連法規」も含めて「個々人の個別的利益」を保護する趣旨があるか検討する、としました。

そして航空法には「騒音防止」の観点による規制も含まれていましたので、空港周辺住民には「騒音被害を受けない個別的利益」があるして、原告適格が認められました。

こうした判断は、「もんじゅ訴訟」でも使用されています。

■もんじゅ訴訟

内閣総理大臣の原子炉設置の許可処分に対し、周辺住民が無効確認の訴えを提起した。
「原子炉等規制法」には、周辺住民の身の安全を「公益」としてだけでなく「個別的利益」としても保護する趣旨があるとして、原子炉から29~58km離れた住民にも原告適格が認められた。
(原子炉に事故が起きた場合、広範囲に被害が及ぶ可能性があるため)

もんじゅ訴訟では、根拠法の趣旨・目的だけでなく、根拠法が保護しようとしている利益の内容・性質も考慮するとされました。

 

空港周辺住民の請求は結局棄却!なぜ?

せっかく原告適格が認められた空港の周辺住民ですが、結果的には請求は棄却されることになりました。
なぜか?
それについては以下で記述の練習も兼ねて学びましょう。

記述練習問題 6

行政法
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