【行政事件訴訟法】原処分主義と裁決主義の違いを分かりやすく解説

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今回のテーマは「原処分主義と裁決主義」です。

意外と勘違いしている方も多いこの用語、皆さんはキチンと理解していますか?

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前提となるシチュエーション

さて、原処分主義や裁決主義について説明するには、その前提となるシチュエーションが必要です。
どういうことかというと

  • 申請に対する「拒否処分」
  • 審査請求に対する「棄却裁決」

という2つが必要ということなんですね。

いつものようにキャラ付けをして説明してみましょう。
今回はめちゃくちゃデフォルメしてお届けします。

 

申請人:ハチベエ
処分庁:モーちゃん
審査庁:ハカセ

ハチベエ「おい、モーちゃん、キャッチボールしようぜ!」(申請)

モーちゃん「えぇ・・やだなぁ」 ※拒否処分(原処分)

ハチベエ「なにぃ!拒否するだと!ハカセ!モーちゃんが拒否するんだよ!なんか言ってやってくれ!」(審査請求)

ハカセ「いや、それは仕方ないんじゃない?」 ※棄却裁決

ハチベエ「ムキー!お前ら訴えてやるからな!」

 

原処分主義とは

はい、元ネタが分かった方は僕と同年代かもしれません(笑)

申請したけど「拒否処分」があり、それに対して審査請求をしたけれどそれも「棄却裁決」されたという状況なんですね。

この場合、ハチベエは、

●モーちゃんの「拒否処分」についても
●ハカセの「棄却裁決」についても

どちらに対しても取消訴訟を提起できます。
つまり選択肢が2つあるわけです。

[選択肢①]
モーちゃんの原処分に対する「処分の取消訴訟」

[選択肢②]
ハカセの裁決に対する「裁決の取消訴訟」

 

さて、行政事件訴訟法10条2項は以下のように規定しています。

第10条2項
処分の取消しの訴えとその処分についての審査請求を棄却した裁決の取消しの訴えとを提起することができる場合には、裁決の取消しの訴えにおいては、処分の違法を理由として取消しを求めることができない。

「裁決の取消しの訴えにおいては、処分の違法を理由として取消せない」とあります。

これはつまり、②「ハカセの裁決取消訴訟」を起こした場合は、「モーちゃんの判断が違法だからハカセの裁決を取消せ」とは言えないということです。
②の場合は、あくまでハカセの判断がおかしいこと(=裁決固有の瑕疵)しか主張できません。

いいかえれば、「モーちゃんの処分は違法だ」と言いたいのであれば、①「モーちゃんの処分取消訴訟」を提起すべきということです。

これを「原処分主義」といいます。

 

裁決主義とは

しかし、個別法の中には、①「モーちゃんの処分取消訴訟」ができないものがあります。つまり、最初から選択肢が②しかないのです。

その場合は、②「ハカセの裁決取消訴訟」の中で、「モーちゃんの処分は違法だ」と主張できるようになっています。

これが「裁決主義」です。

 

こんな風に勘違いしていませんか?

勘違いしやすいパターンとしては、

[勘違い1]
原処分主義とは、原処分の取消訴訟しかできないものだ、と思っている

[勘違い2]
裁決主義とは、原処分の違法を主張できないものだ、と思っている

の2つかと思います。

先ほど説明した通り、これらはいずれも間違いです。

1→原処分主義では裁決の取消訴訟も可能です。
ただ、原処分の違法を主張したいなら処分の取消訴訟じゃないとダメということです。

2→裁決主義は、裁決の取消訴訟の中で原処分の違法を主張するものです。
処分の取消訴訟がそもそも起こせないからです。

 

以上、しっかり理解しておきましょう。

ちなみに元ネタはこちらです。
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行政法
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