行政書士試験の勉強法を紹介している人の中には、「過去問を何十周も繰り返し解いてください」という人がいたりします。
これについては理解できる部分もあるのですが、やり方を間違えるとドツボにハマるなと思ったので、記事を書いておこうと思います。
今回は、「過去問との関わり方」について僕の考えをお伝えします。
過去問は何のために解くのか?
僕は「過去問は繰り返さなくていい」と言いたいわけではありません。
繰り返しは必要です。
でも漫然と繰り返すことに意味はないと思っています。
僕の個人的な感覚では、だいたい4周程度が一つの目安だと思います。
大枠で言うと以下のようなイメージ。
1周目:どのような出題傾向があるかを知るため
2周目:より詳しく、どのような知識が必要かを知るため
3周目:不足している知識の補充や、誤解している知識の修正のため
4周目:本試験直前に、頭を慣らすため
これはもちろん厳密なものではありません。
このプロセスが2~3周で終わる人もいるでしょうし、7~8周かかる人もいるかもしれません。
大事なことは、このように目的意識を持って繰り返すということです。
明確な目的も持たず、いたずらに回数だけ増やしてもあまり意味はないと思います。
なぜでしょうか?
理由はカンタンです。
からです。
皆さんも経験がありませんか?
問題を見た瞬間、「あ、これ正解覚えてる」と思うこと。
何度も繰り返し解いていると、必ずそうなってきます。
するとどうなるか。
集中力がなくなるんです。
自分では集中しているつもりでも、無意識に切れています。
緊張感が薄れ、新しい知識を吸収しようというモチベーションが低下します。
そして、過去問はほとんど〇×だけで解答できますから、知識が曖昧であっても正解できます。
すると、過去問は全問正解できるけど、模試や本試験では得点できないという状態になってしまうのです。
これがドツボ状態です。
中には毎回新鮮な気持ちで取り組める人もいるのかもしれませんが、多くの人はそうではないでしょう。
そもそも過去問は正解を出すために解くものではないのです。
過去問を解く目的は
です。
これらを放置したまま正解できるようになっても意味がありません。
過去問は枝葉末節にすぎない
過去問とは「枝葉末節」です。
その細かい知識ばかり集めていても、全体像は見えてきません。
そもそも、過去問だけをやって全体を網羅することはできないのです。
知識が断片的になりますし、しかも同じ問題は二度と出ませんから。
大事なのは、それより前の知識です。
つまり「枝分かれする前の知識」です。
前提知識といってもいいでしょう。
過去問にあたるときは、「これはどのような前提知識に基づいて考えればよいか?」を意識するようにしましょう。
そうすれば、単純な〇×だけでなく、なぜその答えになるのか、理由を説明することができるようになります。
ここまでくれば、多少変則的な枝葉(問題)が出てきたとしても対処できます。
逆に言えば、理由が説明できないうちは、前提知識が頭に入っていません。
断片的な知識を寄せ集めただけです。
これでは安定して得点することはできません。
つまり、繰り返すべきなのは、「枝葉である過去問」ではなく「前提知識」の方なのです。
前提知識を、繰り返しアウトプットすること。
これこそが一番大事な勉強法だと思います。
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