今回のテーマは「謝罪広告事件」です。
裁判所が名誉棄損をした被告に対し謝罪広告の掲載を命じたことが、憲法19条の思想良心の自由を侵害しないか争われた事例です。(最判昭31.7.4)
事件の概要
衆議院総選挙に立候補したAは、対立候補であるBが裏で汚職を行っているという虚偽の事実を喧伝した。Bは名誉を棄損されたとしてAを訴え、1審・2審で勝訴した。裁判所はAに対し「新聞に謝罪広告を掲載するように」と命じたが、Aは「謝罪広告を強制することは思想良心の自由の侵害である」として上告した。
押さえておくべきポイント
「単に事態の真相を告白し陳謝の意を表明するに止まる程度のもの」は、思想良心の自由を侵害しない。
この判例はシンプルに覚えておけば大丈夫です。
「単に『間違ってました。ごめんなさい』と言わせるだけなら、思想良心の自由は害さない」
ということです。
確かに、どんなに真実を突きつけても決して謝らないタイプの人っていますから、裁判所が命令しないと名誉は回復できませんよね。
「私がイヤだと思うことを強制したら、それは全部、思想良心の自由の侵害である!」なんて言い出したら、国が命じることはほとんどが侵害になってしまいます。
そんなわけはありませんからね。
サラリと押さえておけばよいでしょう。
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