行政不服審査法の条文を見ていて「おや」と思ったことはありませんか?
例えば以下のような条文。
処分についての審査請求は、処分があったことを知った日の翌日から起算して三月(当該処分について再調査の請求をしたときは、当該再調査の請求についての決定があったことを知った日の翌日から起算して一月)を経過したときは、することができない。(略)
「知った日の翌日から起算して〇〇以内」
と、「翌日」と書いてあるんです。
これ、他の法律ではあまり見ない書き方ですよね。
例えば、行政事件訴訟法では、
取消訴訟は、処分又は裁決があったことを知った日から六箇月を経過したときは、提起することができない。
と、「知った日から」となっています。
また、憲法54条なども
衆議院が解散されたときは、解散の日から40日以内に、衆議院議員の総選挙を行い、その選挙の日から30日以内に、国会を召集しなければならない。
と、「〇〇の日から」という表記になっています。
あれあれ?
もしかして行政不服審査法って、他の法律と起算日が違うの?
1日オマケしてくれてるのかな?
なんて疑問を抱く方もいるかもしれません。
今回はそんな疑問を解消するお話です。
初日不算入の原則
結論から言ってしまうと、これは全部同じなんです。
書き方が異なっているだけです。
というのも、元々民法に「初日不算入の原則」というものがありまして、そもそも初日はカウントに入れないことになっているんです。
民法第140条
日、週、月又は年によって期間を定めたときは、期間の初日は、算入しない。ただし、その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない。
これは他の私法だけでなく、憲法や行政法などの公法でも一般的に採用されています。
つまり
「知った日から」→ 知った日の翌日から起算
「解散の日から」→ 解散の日の翌日から起算
「選挙の日から」→ 選挙の日の翌日から起算
ということなんですね。
つまり、行政不服審査法は、最初から分かりやすく「知った日の翌日から起算」と書いているだけなんです。
(法案を作成した官僚が親切だったんでしょうかね?)
なお、「起算」という言葉は、「その日を1日目としてスタートする」ということですので、もし記述などで書くことがあったら間違えないように気を付けてくださいね。
「知った日から6箇月」と「知った日から起算して6箇月」はイコールではありませんよ。
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