「代理」について覚えておくこと8つ

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「代理」について覚えておくべきことを書き出しておきました。
基本的なものから応用知識まで、全部で8つです。

 

①代理には「法定代理」と「任意代理」がある

これは基礎知識。
法定代理は、法律上当然に代理権が発生するものです。
任意代理は、本人の意思で他人に代理権を与えるものです。
⑤の代理権の消滅において、法定代理と任意代理で異なる部分に注意しましょう。

 

②代理権の範囲が不明な場合は、「保存」「利用」「改良」はできるが、「処分」はできない

範囲が分からないのに、勝手に処分されたら本人はたまったものではありませんよね。だからダメ。
保存は当然OKです。
そして物や権利の性質を変えない範囲での利用、改良も認められています。

 

自己契約双方代理禁止されている
ただし、「債務の履行」「本人があらかじめ許諾している行為」は認められる

自己契約とは、代理人自身が契約の相手方になることをいいます。
たとえばAがBに土地売却の代理権を与えたところ、B自身がその土地を買うような場合です。
BはAに代わって売値を決めることができますから、自分にとって都合のいい安い価格で買うこともできてしまいます。だからこういうのは禁止されています。

双方代理とは、同一人が当事者双方の代理人になることをいいます。
一方の利益を図るともう一方の利益を害する「利益相反」の関係になりますから、これも禁止されています。

ただし、単純に債務を履行するだけであったり、本人が認めている場合はOKとされます。
以下は、判例でも認められた行為です。

・登記の申請
・公正証書の作成
・株主の名義書換え

 

代理権の濫用があったときは、「心裡留保」が類推適用される

代理権の範囲内の行為であっても、代理人が自分自身や第三者の利益を図る目的で代理権を行使することを「濫用」といいます。
この場合は、一応代理権の範囲内であるため、原則として効果は本人に帰属します。
しかし、相手方が「この代理人、濫用してるな」と分かっていた場合にまで本人に帰属させるのはフェアではありません。
そのため、「心裡留保」が類推適用され、相手方が「代理人の意図を知っていた」または「知ることができた」場合は無効とされます。

 

代理権が消滅するケース
▼法定代理の場合
本人の死亡
代理人の死亡・破産・後見開始
▼任意代理の場合
本人の死亡・破産
代理人の死亡・破産・後見開始

消滅するケースは「本人」と「代理人」でそれぞれ押さえておいてください。
なお、法定代理と任意代理はほぼ同じですが、唯一の違いは、任意代理は本人の破産によっても代理権が消滅するという点です。
本人が破産したら、代理人に報酬を支払えなくなるからです。

 

⑥代理人が顕名しなくても、相手方が知っていたり、知りうることができた場合は代理行為は有効となる

もし顕名がなかった場合は、原則として代理人自身に効果が帰属することになります。
しかし、相手方が「この人は代理人だな」と分かっていたときまでそうするのはおかしいので、相手方が知っていた(悪意)または知りうることができた(有過失)の場合は、本人に効果が帰属することになります。

 

⑦代理人は、行為能力者である必要はない

代理人に行為能力は必要ありません。
つまり未成年者などの制限行為能力者も代理人になることができます。
「そんなことして大丈夫なの?」と思うかもしれませんが、効果が帰属するのは本人ですし、もし不安であれば代理人に選ばなければいいだけなので、特に問題はありません。

ところが、行為能力はなくてもいいですが、「意思能力」は必要とされています。(ややこしいですね)
代理人は、本人に代わって意思表示をする存在であるため、意思能力がなければ法律行為ができないからです。
(意思能力を欠く者(意思無能力者)がした法律行為は無効である)
この違いは押さえておきましょう。

 

⑧代理行為に瑕疵があった場合は、代理人を基準として判断する

先ほどお伝えした通り、代理において意思表示(法律行為)をする主体はあくまで代理人自身です。
そのため、もし取引に錯誤・詐欺・脅迫などの瑕疵があったりした場合は、原則として代理人にそれがあったのかどうか?を基準に判断されます。(「代理人について決する」というのはこういうことです。条文の言葉って分かりづらいですね)

例えば、Aの代理人Bが、Cに騙されてCのポンコツ車を高値で買わされた場合、直接騙されたのはAではありませんが、AはCの詐欺を理由にして売買契約の取消しを主張できます。瑕疵は、代理人Bを基準に判断するわけです。

 

なお、例外的に「特定の法律行為をすることを委託された場合において、代理人が本人の指図に従ってその行為をしたとき」は、本人は代理人が知らなかったことを主張することができないとされています。

どういうことかというと、例えばAがBに対し「Cから車を買ってきて」と代理権を与え、何も知らないBがその通り購入したところ、その車は隠れた瑕疵があるポンコツで、実はそれをAは知っていた、というような場合です。

先ほどのように「代理人を基準として判断する」と、Bは善意無過失なのでAは取消すことができそうですが、そもそもAは知っていたのですから保護する必要がありません。
そのため、こうした場合は代理人の善意を主張できないことになっています。(常識で考えれば当然ですね)

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