第三者の保護要件。「善意のみ」or「善意無過失」どっち?

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今回のテーマは、第三者保護要件です。

心裡留保、虚偽表示、詐欺、錯誤、それぞれのケースにおいて、第三者が保護されるためには、「善意」であればよいのか、それとも「善意無過失」まで要求されるのか、という点を明確にしておきましょう。

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善意だけで保護されるケース

善意だけが要件とされているものは、

●心裡留保
●虚偽表示

における第三者です。

民法93条(心裡留保)
1 意思表示は、表意者がその真意ではないことを知ってしたときであっても、そのためにその効力を妨げられない。ただし、相手方がその意思表示が表意者の真意ではないことを知り、又は知ることができたときは、その意思表示は、無効とする。
2 前項ただし書の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。
民法94条(虚偽表示)
1 相手方と通じてした虚偽の意思表示は、無効とする。
2 前項の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。

なぜ、無過失まで要求されないかというと、「表意者の方に落ち度があるから」です。
心裡留保は、表意者が本気じゃないのに適当なことを言ったことが原因です。
虚偽表示は、表意者が虚偽の外観を作り出したことが原因です。
いずれも、表意者の方が悪いのであって、それを真に受けた第三者は被害者です。

よって、こうした場合は第三者を保護してあげないと可哀そうなので、「善意でありさえすればいい」(例え過失があっても問題ない)ということになっているのです。

虚偽表示が「類推適用」される場合においては、無過失まで要求されるケースがあります。
詳しくはこちらをご確認ください。

 

善意無過失まで要求されるケース

一方、第三者が保護されるために、善意無過失まで必要とされているのは以下の2つです。

●錯誤取消し
●詐欺取消し

第95条(錯誤)
1 意思表示は、次に掲げる錯誤に基づくものであって、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができる。
一 意思表示に対応する意思を欠く錯誤
二 表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤
2 前項第二号の規定による意思表示の取消しは、その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていたときに限り、することができる。
3 錯誤が表意者の重大な過失によるものであった場合には、次に掲げる場合を除き、第一項の規定による意思表示の取消しをすることができない。
一 相手方が表意者に錯誤があることを知り、又は重大な過失によって知らなかったとき。
二 相手方が表意者と同一の錯誤に陥っていたとき。
4 第一項の規定による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。
第96条(詐欺又は強迫)
1 詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。
2 相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、相手方がその事実を知り、又は知ることができたときに限り、その意思表示を取り消すことができる。
3 前二項の規定による詐欺による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。

こちらは、表意者に原因がありつつも、表意者自身にも同情すべきところがあるから、第三者の保護要件を重くして、バランスを取っているのです。
つまり、どちらも保護に値するので、「だったら過失の有無でどちらを優先するか決めよう」ということです。
第三者が無過失まで備えていれば第三者の勝ち、過失があるなら表意者の勝ち、となります。

なお、「強迫」については、第三者は保護されません。
仮に第三者が善意無過失であったとしても、強迫を受けた人を守ることが優先されるからです。

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