地方自治法で度々出題される「公の施設」に関する論点を、1ページにまとめておきました。
公の施設とは何か?
「公の施設」とは、住民の福祉を増進する目的をもってその利用に供するための施設です。
「施設」という言葉を使っているので公民館などの建物をイメージするかもしれませんが、公園や道路、上下水道なども「公の施設」の一つです。また、河川も含まれています。
「公」のものですから、正当な理由がない限り、普通地方公共団体は住民に対して公の施設の利用を拒んではいけません。
また、差別的取扱いもしてはいけません。
区域外に設置できる?
普通地方公共団体は、その区域外であっても公の施設を設けることができます。
ただし、他の普通地方公共団体の区域に設置するわけですから、関係する普通地方公共団体と協議が必要です。
設置・管理・廃止その他に関する取り決め
「公の施設」の設置・管理に関する事項は条例で定めることが必要です。
(※法律や政令に特別の定めがある場合は除きます)
公の施設の中でも、条例で定めた特に重要なものを
●廃止する場合
●長期かつ独占的な利用をさせる場合
は、議会の出席議員の3分の2以上の同意が必要となります。
指定管理者制度
公の施設を管理する場合、普通地方公共団体が自ら管理することもありますが、民間の事業者に代行させることもできます。これを「指定管理者制度」と呼びます。(その事業者を「指定管理者」といいます)
民間に代行させるといっても、いい加減な事業者が適当に選ばれたのでは困りますよね?
ですから普通地方公共団体は、指定管理者制度を導入する場合はその「指定の手続き」「管理者が行う管理の基準」「業務の範囲」などの必要な事項を条例で定めることとなっています。
・指定の手続
(申請、選定、事業計画の提出等)
・管理の基準
(休館日、開館時間、使用制限の要件)
・業務の具体的範囲
(施設・設備の維持管理、使用許可)
これらに沿った上で事業者が選定されることになります。
なお、事業者は、選ばれたらそれで終わりというわけではなく、議会の議決を経てはじめて指定管理者となります。
指定管理者は、普通地方公共団体の管理を代行するので、施設の「使用許可」などの行政処分をすることができます。
指定管理者が管理する施設の「利用料金」
指定管理者が決まった公の施設の利用料金は、あらかじめ普通地方公共団体の承認を受けた上で、指定管理者が決めるものとされています。
また、普通地方公共団体は、その利用料金を「そのままお宅の収入にしていいよ」と認めることができます。
・普通地方公共団体は、その利用料金を管理者の収入として収受させることができる
審査請求先は?
住民が公の施設を利用しようとしたところ、「利用を禁止する」など、その権利について処分を受けたとします。
こんな時は、審査請求をすることができます。
ただし、「誰が処分したのか」によって、審査請求先が異なります。
→ 総務大臣に審査請求
・市町村長がした処分
→ 都道府県知事に審査請求
・長以外の機関や指定管理者がした処分
→ 地方公共団体の長に審査請求
※長が当該機関の最上級庁でなくても、長に対して行う
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