憲法の私人間効力に関する判例3つ 超カンタンまとめ

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今回のテーマは「憲法の私人間効力」についてです。

判例を3つご紹介しますが、まずはリーディングケースを押さえておきましょう。
それが「三菱樹脂事件」です。

企業が、思想・信条を理由に採用を拒否することが、憲法違反となるか否かが争われた事例です。

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事件の概要

Xは三菱樹脂株式会社の採用試験を受けた際、「学生運動に参加したことはない」と答えて試用されたが、その後これがウソだとバレて本採用が拒否された。
Xはこれに対し「採用拒否は、憲法上の思想信条の自由を侵害する」として会社を訴えた。

 

争点

憲法の人権規定は、私人間に直接適用されるか?

第14条1項
すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
第19条
思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。

 

押さえておくべきポイント

●憲法14条、19条は、国または地方公共団体に対して個人の基本的自由と平等を保障したもので、私人間を直接規律するものではない。

●企業には契約締結の自由があり、特定の思想・信条の者の雇入れを拒否することができる。

憲法の人権規定は私人間を直接規律しないとして、いわゆる「間接適用説」の立場を明確にした、超・超・超有名な判例です。
憲法を学ぶ上で必須の知識ですので、しっかり押さえておきましょう。

その後の判例

この判断は、その後の「昭和女子大事件」でも踏襲されました。

昭和女子大事件
学則に違反し、校内で政治運動を行った生徒が退学処分となった。
生徒は憲法19条、21条、23条を根拠に学校側の憲法違反を主張したが、最高裁は間接適用説を採用し、退学処分は懲戒の裁量権の範囲内である、とした。

 

ちなみに「間接」という意味は、民法90条の「公序良俗違反」や、民法709条の「不法行為」の解釈をする際に、憲法の趣旨を取り込んで解釈・適用するという意味です。

それがよく分かる判例として、「日産自動車事件」があります。

日産自動車事件
「男子の定年は55歳、女子の定年は50歳」と定めていた就業規則により、50歳で退職を命じられた女性が会社を訴えた。
裁判所は、この就業規則は性別のみによる不合理な差別であり、憲法14条の趣旨に反するとして、民法90条の公序良俗違反で無効とした。

 

ちなみに、憲法の全てが間接適用となるわけではなく、直接適用となる条文もあります。

15条「投票の秘密」
18条「奴隷的拘束・苦役からの自由」
24条「個人の尊厳と両性の平等」
27条3項「児童酷使の禁止」
28条「労働基本権」

です。

一つ一つを覚える必要はないかもしれませんが、「全てが間接ってわけじゃない」という点は押さえておきましょう。

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