在外日本人選挙権訴訟 超カンタンまとめ

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今回のテーマは「在外日本人選挙権訴訟」です。

海外に在住する日本人が国政選挙の際に小選挙区で投票できないという公職選挙法の規定が憲法に違反しないか、そしてその状態を長年にわたって放置していたことが国家賠償法上の違法とならないかが争われた事例です。

 

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事件の概要

1998年に公職選挙法が改正され、新たに「在外選挙制度」が設けられた。(※それまでは在外日本人には選挙権がなかった)
しかし、その際に認められた選挙権は、「当分の間、比例代表選挙に限る」とされており、選挙区選挙には選挙権がなかった。
これに対し在外日本国民が、公職選挙法の違憲確認と、立法の不作為による国家賠償を請求した。

 

押さえておくべきポイント

●国民の選挙権を制限することは原則として許されず、もし制限する場合は「やむを得ない事由」がなければならない。

●「やむを得ない事由」とは、「制限しなければ、選挙の公正を確保しつつ選挙権を行使することが不可能、もしくは著しく困難となる事由」でなければならない。

国会が在外選挙制度を創設しないまま放置したことは、上記の「やむを得ない事由」とは認められないため、公職選挙法の規定は違憲である。

立法の内容または立法不作為が、国民に憲法上保障されている権利を違法に侵害することが明白な場合や、国民に憲法上保障されている権利行使の機会を確保するために所要の立法措置を執ることが必要不可欠で、それが明白にもかかわらず、国会が正当な理由なく長期にわたって怠った場合には、例外的に、国会議員の立法行為または立法不作為は、国家賠償法上違法の評価を受ける。

 

これは数少ない違憲判決の一つであり、かつ、国会の「立法行為」「立法不作為」が国家賠償法の対象となる場合を示した重要な判例ですので覚えておいてください。

 

なお、似たような事例として、これ以前に「在宅投票制度廃止事件」というものがありました。
こちらも立法の不作為について国家賠償請求がされています。

在宅投票制度廃止事件

病気で投票に行けない人に認められていた「在宅投票制度」が廃止され、その後復活しなかったことは、憲法違反の立法不作為であるとして、国家賠償を請求した事例。
裁判所は、「国会の立法行為は、その内容が憲法の一義的な文言に違反しているのにあえてその立法を行うといった例外的な場合でない限り、国家賠償法上の違法とはならない」と判断して棄却した。

 

こちらの判例では、国家賠償請求が認められる範囲がかなり制限されており、請求は認められませんでした。(そのため、「在外日本人選挙権訴訟」は実質的な判例変更という話があります。裁判所自身は「異なる趣旨ではない」と言っていますが)

結論が異なっているので、2つの判例を混同しないように注意しましょうね。

 

また、仮に立法の内容に憲法違反があったとしても、それによってただちに国家賠償法上請求ができるわけではないということも判示されているので、併せて覚えておきましょう。

憲法上の違憲と、国家賠償法上の違法は区別される

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