国と沖縄の攻防に出てくる行政法のキーワード

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普天間基地の辺野古移設の件で、沖縄と国の争いが続いていますね。
政治的な問題は人それぞれ考えがあると思うのでここでは置いといて、両者が今までにとってきた手続きについてスポットを当ててみたいと思います。

このやり取りには、行政法に出てくるキーワードがたくさん出てきます。
一般知識の勉強も兼ねてチェックしておきましょう。

 

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これまでの経緯

2013年12月 前々沖縄県知事である仲井眞氏が公有水面埋立法に基づき、辺野古の埋立を承認
2015年10月 前知事である翁長氏が「埋立承認は違法だった」として取消し
2016年3月 国土交通相が沖縄県に対し「取消処分の取消し」を求める是正指示
9月 沖縄県が取消しをしないため、国が不作為の違法確認訴訟を提起
(→ 最高裁にて国が勝訴)
2017年7月 沖縄県が国に対し工事の差し止め訴訟を提起
(→ 高裁にて国が勝訴、沖縄県は上告を取り下げ)
2018年7月 翁長氏が埋立承認を撤回
10月 国が知事の承認撤回に対して執行停止の申立て
10月 申立てを受けて国土交通相が知事の承認撤回の効力を停止
11月 現知事の玉城氏が、国土交通相の執行停止に対し国地方係争処理委員会へ審査申出
2019年2月 国地方係争処理委員会が審査申出を却下
3月 玉城氏が、「国土交通相の執行停止は違法」として取消訴訟を提起

※和解が成立したものは省略

 

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取消しと撤回の違い

まずは沖縄県知事が行った「取消し」「撤回」の違いについておさらいしましょう。
行政法では基本的な知識ですが、非常に重要な部分です。

「取消し」は、処分に瑕疵があった場合にその処分の効力を失わせるものです。
処分時にすでに瑕疵があったということです。
取消された場合は、処分時に遡って効力を失います。(遡及効)

一方、「撤回」は、処分時には瑕疵がなかったものの、事情の変化などの後発的事由によって処分の効力を失わせるものです。
こちらは撤回した時点から将来に向かって効力を失います。(将来効)

沖縄県は「取消し」で敗訴した(承認に違法性はなかったと判定された)ので、「撤回」に切り替えたというわけですね。

 

不作為の違法確認訴訟

不作為の違法確認訴訟は、行政庁が相当の期間内に何らかの処分や裁決をしない場合に、その違法を確認する訴訟です。6種類ある抗告訴訟の一つですね。
今回は「是正指示に従わない」という沖縄県の不作為に対して国が提訴しました。

 

差止め訴訟

差し止め訴訟は、行政庁が何らかの処分や裁決をしようとしている場合に、それを止めさせる訴訟です。これも抗告訴訟の一つ。
沖縄県は移設工事の差し止めを国に求めましたが、一審・二審共に棄却されています。その後、上告したものの取り下げました。

 

執行停止

執行停止には、行政不服審査法に基づくものと、行政事件訴訟法に基づくものがありますが、今回は行政不服審査法に基づくものになります。

行政不服審査法第25条
審査請求は、処分の効力、処分の執行又は手続の続行を妨げない。
2.処分庁の上級行政庁又は処分庁である審査庁は、必要があると認める場合には、審査請求人の申立てにより又は職権で、処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止その他の措置(以下「執行停止」という。)をとることができる。
3.処分庁の上級行政庁又は処分庁のいずれでもない審査庁は、必要があると認める場合には、審査請求人の申立てにより、処分庁の意見を聴取した上、執行停止をすることができる。ただし、処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止以外の措置をとることはできない。

知事の撤回は公有水面埋立法に基づく処分なので、上級庁は国土交通大臣となります。国からの申立てにより、国交相が執行停止を決定したということです。

試験用の知識として、上級庁と処分庁は、申立てがなくても職権で執行停止ができるという点は覚えておきましょう。

 

国地方係争処理委員会

「国地方係争処理委員会」(通称:係争委)は、その名の通り、国と地方公共団体に争いが生じた場合に処理する第三者機関です。
地方自治法に基づき、総務省に置かれています。
委員は5人、任期は3年で、総務大臣が任命しています。

 

ひとまずこんなところでしょうか。

今度は沖縄県が国土交通相の執行停止に対して取消訴訟を提起しましたので、まだまだこの争いは続きそうです。

これは沖縄だけの問題ではなく、日本全体の国防に関わってきますので、注視していく必要がありそうですね。

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