今回は「随意条件」について説明します。
随意条件?なんだそれ?
といった感想の方も多いかもしれません。
ちょっと聞き慣れないですよね。
ぶっちゃけ、用語自体は覚えなくてもよくって、どういう条件かだけ分かっていればOKです。
では本題に入る前に、まず民法上の「条件」とはどんなものかをみておきましょう。
そもそも条件とは
「条件」とは
法律行為の効力の発生 or 消滅を、将来の不確実な事実の成否にかからせるもの
です。
例えば
とか
といったものが例としてあげられます。
「〇〇したら」という部分が条件です。
行政書士試験に合格するかどうか、大学を留年するかどうかは現時点では分からないわけですから、「将来の不確実な事実」ということになります。
そして、
この場合
行政書士試験に合格することにより、車を買ってあげるという贈与契約の効力が発生します。
これを「停止条件」といいます。
効力が発生するのに、なんで「停止」やねん!
というツッコミもあるかと思いますが、契約はしたけど条件が成就するまでその効力は停止しているから停止条件というんですね。ややこしい。名前をつけた人を小突きまわしたいですね。
一方で
の場合、今は仕送り(贈与)をしているけれど、留年したらそれを解除する、という条件です。
条件が成就したら解除になるから解除条件です。
こちらは分かりやすいですね。
さて、ざっくり「条件」について学んだところで、本題の「随意条件」というものをみてみましょう。
随意条件とはなにか?
「随意」とは、「思うまま」「任意」といった意味です。
「思うまま」が条件となる。
つまり「随意条件」とは、当事者の気持ち次第で成立する、という条件です。
はぁー?なんやねんそれは
例えば先ほどの例でいえばこんな風になります。
(※債務者の気持ち次第の停止条件)
(※債務者の気持ち次第の解除条件)
つまり、条件が成就するかどうかは、債務者の自由ということです。
そして民法では、「債務者の意思のみに係る停止条件」は無効としています。
停止条件付法律行為は、その条件が単に債務者の意思のみに係るときは、無効とする。
つまりどゆこと?
つまり
(※債務者の気持ち次第の停止条件)
という契約は無効ということです。
なぜかといえば、債務者は「買うかどうかまだ分からない」と思っていますし、債権者も「買ってもらえるか分からない」と思っているので、この時点で両者には法的な効力を発生させる意思がないからです。
本当に気が向いたら、その時に贈与契約を結べばいいわけですしね。
一方で「解除条件」については認められています。
(※債務者の気持ち次第の解除条件)
は有効ということです。
これはすでに効力が発生しているものですから、その解除条件が債務者の任意であっても問題はないということですね。
「債権者」の意思に係る場合は?
今までは見てきたのは「債務者」の意思に係る場合でした。
停止条件→×
解除条件→〇
ということでしたね。
しかし、これが「債権者の意思」に係るものだった場合は、どうでしょうか。
その場合は、
停止条件→〇
解除条件→〇
となります。
例えば
(※債権者の気持ち次第の停止条件)
(※債権者の気持ち次第の解除条件)
はいずれも契約として有効となります。
なぜなら、債権者は「いつかは買ってもらう」or「いつかは停止してもらう」と思っていますし、債務者も「いつかは買うんだろう」or「いつかは停止するんだろう」と思っているからです。
両者に意思があるわけですから、法的な効力を発生させても問題がないということです。
まとめるとこんな感じ
停止条件 | 解除条件 | |
---|---|---|
債務者の意思のみに係る | × | 〇 |
債権者の意思のみに係る | 〇 | 〇 |
そういうことです。
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