権限と権原の違いって何?

スポンサーリンク

条文を読んでいると、「権限」「権原」という言葉を見ることがあります。
読み方はどちらも「けんげん」なので、意識していないとその違いに気が付きません。

ですが、これらの用語は、異なった意味を持っています。

今回はそれを明らかにしておきましょう。

スポンサーリンク

権限とは

まずは「権限」から見ていきましょう。
こちらは「げん」の部分が「限」となっていますね。

限とは、限りのあるもの。つまり「範囲」を指します。
これに「権」がついているわけですから、「権限」とは「権利の範囲」を指す言葉なのです。

「権」… 権利を示す
「限」… 範囲を示す  → 権利の範囲

 

例えば条文を見てみましょう。

(代理行為の要件及び効果)
第99条 代理人がその権限内において本人のためにすることを示してした意思表示は、本人に対して直接にその効力を生ずる。

つまり、代理人は、その権利の範囲(=授与された代理権の範囲)内において、本人のためにすることを示したした意思表示は、本人に効果が帰属する、と読めるわけです。

 

権原とは

次に「権原」を見てみましょう。
こちらは「げん」の部分が「原」となっていますね。

原とは、原因のこと。言い換えれば「根拠」を指します。
これに「権」がついているわけですから、「権原」とは「原因(根拠)のある権利」を指す言葉ということです。
また、これは「法律上の原因」という意味でも用いられることがあります。

「権」… 権利を示す
「原」… 原因を示す  → 原因(根拠)のある権利または法律上の原因

 

例えば条文を見てみましょう。

(不動産の付合)
第242条 不動産の所有者は、その不動産に従として付合した物の所有権を取得する。ただし、権原によってその物を附属させた他人の権利を妨げない。

つまり、原因(根拠)がある権利によって、不動産に物を附属させたときは、その物の所有権は附属させた者が得る、ということです(※弱い付合の場合に限りますが)。

 

(占有の性質の変更)
第185条 権原の性質上占有者に所有の意思がないものとされる場合には、その占有者が、自己に占有をさせた者に対して所有の意思があることを表示し、又は新たな権原により更に所有の意思をもって占有を始めるのでなければ、占有の性質は、変わらない。

こちらは法律上の原因と読む方ですね。
条文によって意味が変わってくるので少し分かりづらいかもしれませんが、いずれにしても「原因」の「原」だと思っておけば、判断しやすいでしょう。
民法
スポンサーリンク
スポンサーリンク
Yutaka_0125をフォローする
スポンサーリンク
1日5分で学べる行政書士試験ブログ

コメント