未成年者又は成年被後見人と時効の完成猶予とは?

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今回のテーマは、「未成年者又は成年被後見人と時効の完成猶予」です。
第158条
1 時効の期間の満了前六箇月以内の間に未成年者又は成年被後見人に法定代理人がないときは、その未成年者若しくは成年被後見人が行為能力者となった時又は法定代理人が就職した時から六箇月を経過するまでの間は、その未成年者又は成年被後見人に対して、時効は、完成しない。
2 未成年者又は成年被後見人がその財産を管理する父、母又は後見人に対して権利を有するときは、その未成年者若しくは成年被後見人が行為能力者となった時又は後任の法定代理人が就職した時から六箇月を経過するまでの間は、その権利について、時効は、完成しない。

 

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第1項

未成年者又は成年被後見人に法定代理人がいない場合は、

①未成年者又は成年被後見人が行為能力者となったとき
②法定代理人が就職したとき

から6ヶ月間は、時効は完成しない、とされています。

仮に、未成年者又は成年被後見人であるAが、Bに対して債権を有していたとしましょう。
債権ですから、放置していれば、消滅時効にかかってしまいます。

(※参考)
第166条
債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
①債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。
②権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。

このとき、制限行為能力者であるA自身が、時効の更新措置を取ることは現実的ではありません。
それを行うとすれば法定代理人になるわけです。

しかし、その法定代理人がいなくなってしまったらどうでしょうか。
例えば、未成年者であれば親権者が(成年被後見人であれば成年後見人が)、時効の完成間近のときに死亡してしまうこともあるわけです。
すると、更新手続を行う人がいませんから、為すすべもなく債権が消滅してしまうことになります。
そこで、こういった事態を防ぐために、時効の完成猶予の規定が用意されています。

もしも、5年で消滅する債権において、4年10か月の時点で法定代理人が死亡したとしましょう。
その1か月後に、新しい法定代理人が選任された場合は、そのとき(4年11か月)から6か月間は時効の完成が猶予されることになります。
つまり、新しい法定代理人は、5年5ヶ月目までに時効の更新をすればいいことになるわけです。

また、未成年者又は成年被後見人が行為能力者となったとき、ということも規定されています。
要するに、「時効の更新措置が取れるようになったとき」から6か月ということですね。

 

第2項

こちらは、未成年者又は成年被後見人が法定代理人に対して権利を有している場合です。
債務者が法定代理人、ということですね。

このときも、法定代理人自身が時効の更新措置を取ることは期待できません。
(法定代理人は債務者ですので、消滅してくれた方が都合がいいからです)

そこで、こういったときは、後任の法定代理人が選任されるか、行為能力者となったときから6か月猶予されることになっています。

民法
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