「転用物訴権」ってどんなものか答えられますか?

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今回のテーマは「転用物訴権」です。

もしかすると「初めて聞いた」という方もいるかもしれません。
この「転用物訴権」は、言葉そのものは若干マイナーです。
しかし、その判例は「不当利得」に関する問題の中で度々問われています。
民法の原則からすると、ちょっと意外な内容なので理解しておく必要があります。

とはいえ、有名な判例は2つしかないので、このページに書いてあることさえ押さえておけば大丈夫です。

 

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そもそも「転用物訴権」とは?

この手の権利を解説する場合、多くのサイトではやたら細かく解説していることが多いのですが、逆に理解しづらいので、僕のブログでは簡潔明瞭にいきます。
(学問として追及するならともかく、試験に合格するためにはそこまで深掘りする必要はありませんから)

 

「転用物訴権」とは、一言で言えば、

契約上の給付が、契約の相手方だけではなく、第三者の利益となった場合に、その第三者に利得の返還を請求できる権利

です。

直接の権利関係がなくても請求できるという点が一番の特徴となります。
これは実際に判例で見てみた方が分かりやすいですね。

 

【判例1】ブルドーザー事件

[登場人物]
・ブルドーザーの所有会社(A)
・ブルドーザーを借りた会社(B)
・修理業者(C)

Bは、Aからブルドーザーをレンタルしていた。
ある日、ブルドーザーの調子が悪くなったので、Cに修理をしてもらった。
Cは、修理が終わってBに引き渡したが、Bに請求しようとしたときにはBは倒産してしまっていた。ブルドーザーはAの元に戻った。
そこでCは、Aに対して「修理した分の価値が上がっているのだから、不当利得として私にその代金を支払え」と請求した。

 

問題は、Bが依頼した修理の代金を、Aに対して請求できるか?という点です。
判決では、これを「請求できる」としました。
その理屈は次のようなものです。

Cの修理代金債権はあくまでBに対するものであるから、Aに対して請求権は発生しないのが原則である。
しかしBが無資力であるため、Cの債権の回収の見込みはなく、一方でAは対価を支払ってもいないのに、修理代金相当額を得している。(Aの利得は、Cの労務によるもの)
つまり、Cの損失とAの利得には因果関係があるため、CはAに不当利得として請求することができる。

「Aが対価を支払ってもいないのに」という点がポイントですね。

この他に、もう一つ有名な判例があるので、それも押さえておきましょう。

 

【判例2】ビル改修事件

[登場人物]
・ビルのオーナー(D)
・ビルを借りた人(E)
・ビルをリフォームした会社(F)

Eは、Dからビルを借りた。
EはDに対し、「ビルのリフォームはこちらでやるから、代わりに保証金をタダにして欲しい」と依頼し、Dはこれを承諾した。
そしてEは、Fにビルのリフォームを依頼し、Fはそれを完了させた。
ところが、EはDに無断でこのビルを転貸したため、Dから契約を解除された。
Eは、Fに対しリフォーム代金の半分しか支払わないうちに夜逃げをしてしまった。
そこでFは、残りの回収不能となった部分を、Dに対して請求した。

 

ブルドーザー事件と異なるのは、EとDとの間に「リフォームをEがする代わりにDは権利金をタダにする」という交換条件があった点です。
ブルドーザー事件においては、Aは何の対価もなく利益を得ましたが、本件ではDも権利金を放棄するという対価を払っています。

そこで裁判所は「請求できない」と判決を下しました。

 

記述対策も兼ねて、書けるようになっておきましょう

ビル改修事件の方が請求できる場合が制限されているため、実質的には判例変更されたともいわれています。
よって、もし記述で書かせるとしたら、以下のようになるでしょう。

 

契約関係を全体としてみて
(得した人)が対価関係なしに利益を得ていたのなら
(損した人)は(得した人)に請求が可能

 

この文言は、そのまま暗記して書けるようになっておきたいところです。

「転用物訴権」で出題される判例は上記2つのみなので、もし出題されたらキッチリ押さえておいてくださいね。

民法
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