「西山事件」を分かりやすくまとめました

スポンサーリンク

今回のテーマは「西山事件」です。
別名「外務省機密漏洩事件」ともいいます。

報道機関の記者が公務員に秘密漏示をそそのかすことの違法性について判示された事例です。

スポンサーリンク

事件の概要

1971年の日米沖縄返還協定に際し、日本政府とアメリカとの間に密約があったことを毎日新聞の西山記者がリークした。しかしその情報は、外務省の女性事務官に酒を飲ませて強引に性的関係を結び、それを背景にして機密文書を持ち出させて得たものであった。西山記者は国家公務員法における秘密漏示そそのかし罪で起訴されたが、これに対し「報道の自由」による正当な取材であるとして無罪を主張した。

 

争点

報道機関が取材目的で公務員に秘密漏示をそそのかしても、「報道の自由」によって保障されるか?

押さえておくべきポイント

●報道機関が取材目的で公務員に対し秘密を漏示するようそそのかしても、それが直ちに違法となるわけではない。

根気強く執拗に説得ないし要請を続けても、真に報道の目的から出たもので、手段・方法が相当であれば、正当な業務行為となる。

●しかし、取材対象者の人格の尊厳を蹂躙するなど、その手段・方法が社会観念上是認することのできないものである場合には違法性を帯びる。

 

「報道の自由」は憲法21条で保障する表現の自由のうちでも特に重要なものです。
そして、その「取材の自由」も、憲法21条の精神に照らし、十分尊重に値するものなので、公務員に対して「秘密教えてくれよ」とそそのかしたとしても、すぐに国家公務員法違法になるわけではありません。

しかし、それも無制限に認められるわけではなく、 手段・方法が相当である限りは です。

西山記者のした行為は女性の尊厳を蹂躙するもので、とても社会的に是認できる手段ではなかったため、「正当な業務行為の範囲外」として有罪となりました。

たしかにこんな取材方法が認められたら、何でもアリになってしまいますよね。
昨今ではジャーナリズムに対する批判も多く出てきていますから、報道関係者には節度を保って欲しいものです。

「報道の自由」と「取材の自由」の違いについては、「博多駅テレビフィルム事件」も見ておいてくださいね。

憲法
スポンサーリンク
スポンサーリンク
Yutaka_0125をフォローする
スポンサーリンク
1日5分で学べる行政書士試験ブログ

コメント