【行政事件訴訟法】無効確認訴訟と民事訴訟は併合提起できるのか?(もんじゅ訴訟)

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以前、原告適格についてのお話の中で、「もんじゅ訴訟」について言及しました。

実は、もんじゅ訴訟には原告適格の他にもう一つ重要な論点があります。
それは「無効確認訴訟と民事訴訟を一緒に提起できるのか?」という問題です。

今回はそれについて解説したいと思います。

 

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「無効確認訴訟」を提起するための要件

もんじゅ訴訟は、内閣総理大臣が行った原子炉設置の許可処分に対して、周辺住民が「無効確認訴訟」を提起したものでした。

しかし実は周辺住民は、「無効確認訴訟」だけでなく、開発事業団を被告とした民事訴訟も併合提起しました。(※原子炉の建設および運転の差止め訴訟)

ところがです。
そもそも行政事件訴訟法36条にはこのように規定されています。

第36条
無効等確認の訴えは、当該処分又は裁決に続く処分により損害を受けるおそれのある者その他当該処分又は裁決の無効等の確認を求めるにつき法律上の利益を有する者で、当該処分若しくは裁決の存否又はその効力の有無を前提とする現在の法律関係に関する訴えによつて目的を達することができないものに限り、提起することができる。

「無効確認訴訟」を提起するには、「現在の法律関係に関する訴えによって目的を達することができない」場合に限られるのです。

「現在の法律関係に関する訴え」とは、当事者訴訟や民事訴訟を指します。
つまり、「当事者訴訟や民事訴訟で目的が達成できるなら、無効確認訴訟はできないよ」と言っているのです。

今回は民事訴訟と無効確認訴訟が併合提起されましたが、果たして認められるのでしょうか?

 

最高裁の判断は?

最高裁は、これについて以下のように判断しました。(要旨抜粋)

行政事件訴訟法36条にいう「その効力の有無を前提とする現在の法律関係に関する訴えによって目的を達することができない」とは、当該処分に基づいて生ずる法律関係に関し、処分の無効を前提とする当事者訴訟又は民事訴訟によっては、その処分のため被っている不利益を排除することができない場合はもとより、当該処分に起因する紛争を解決するための争訟形態として、右の当事者訴訟又は民事訴訟との比較において、当該処分の無効確認を求める訴えの方がより直せつ的で適切な争訟形態であるとみるべき場合をも意味する。

つまり本件民事訴訟よりも、無効確認訴訟の方がストレートに目的を達成できると思われる場合は、無効確認訴訟の提起が認められるということです。
また、「原子炉の建設ないし運転の差止めを求める民事訴訟は、行政事件訴訟法36条の処分の効力の有無を前提とする現在の法律関係に関する訴えに該当しない」とも判事しました。

よって、本件では差し止めを求める民事訴訟と無効確認訴訟の併合提起は問題ないとされました。

「民事訴訟で目的を達成できない場合」とは、「民事訴訟より無効確認訴訟の方が目的を達しやすい場合」も含む

 

「もんじゅ訴訟」は過去問でも度々登場していますので、しっかり押さえておきたいところですね。

 

行政法
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