利益相反行為となるもの、ならないもの

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「利益相反行為」とは、当事者間で、一方の利益が他方の不利益になる行為のことをいいます。

以前「代理」のポイントを説明したときに出てきた「自己契約・双方代理」は、この利益相反行為の一つですね。

過去問ではあまり見かけませんが、平成26年に丸々1問出題されたこともありますので、一応押さえておくべきかと思います。

重要なのはやはり「親権者の利益相反行為」なので、それをベースに説明していきますね。

 

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どういった行為が利益相反となるのか

親権者は、子の財産を管理したり、代理して法律行為を行う権限を持っています。
そのため、自分(親権者)の利益のために子を利用する、ということも理屈上は可能です。

例えば、子の財産を勝手に自分に譲渡したり、自分の財産を子に高額で買わせたり。

しかし、そんなことを認めていたら、子の利益が不当に害されてしまいます。
そのため民法では、「利益相反が起きる場合には、家庭裁判所に申し立てて、子の特別代理人を選任しなければならない」として、子の利益を守っています。

 

では、どのような行為が利益相反となるのでしょうか?

判例では、利益相反行為にあたるかどうかは、「行為の外形」で客観的に判断する、としています。
つまり、親権者がどのような目的で行っているか(動機・意図)は問わず、客観的に見て親権者が勝手に子の財産を使っていれば、それだけで利益相反にあたるということですね。

利益相反行為にあたるかどうかは、「行為の外形」で客観的に判断され、親権者の動機や意図は考慮されない

 

それでは実際にどのような行為が利益相反とされ、また、されないのかを見ていきましょう。

 

利益相反行為とされるもの

●親権者が、自らの債務のために、子を連帯保証人にすること
●親権者が、自らの債務のために、子所有の不動産に抵当権を設定すること
●親権者が、共同相続人である数人の子を代理して遺産分割協議をすること
●親権者が、自らは相続して、子の相続を放棄すること

「遺産分割協議」は、仮に子供たちの間に利害の対立を生じなかったとしても、利益相反にあたります。

 

利益相反行為とされないもの

●親権者が、子に財産を贈与すること (※子が一方的に得をする分にはOK)
●親権者が、子の債務のために、子の不動産に抵当権を設定すること
●親権者が、自ら相続を放棄した後(または同時)に、子全員の相続も放棄すること
●親権者が、子と共有している不動産を譲渡すること

親権者と子がいずれも相続放棄する場合は、利益相反にあたりません。

 

利益相反を行った場合の効力は?

もし親権者が特別代理人を選任することなく利益相反行為を行った場合は、無権代理と同じ扱いとなります。
そのため、効果が絶対的に無効となるわけではなく、子が成年に達すれば、追認することもできます。

利益相反行為が行われた場合は、無権代理行為となる。

コメント

  1. ryouhei より:

    いつも拝見しております。利益相反について質問です。親権者が相続、子が相続放棄は利益相反とのことですが、マイナスの相続もあるかと。つまり、親が借金を背負い、子供には借金が及ばないように、あえて親権者のみ相続。子は相続放棄。この場合も利益相反となるのでしょうか?あくまでもマイナスだから利益ではないという考えの下、そもそも論外の質問でしたら、ご容赦願います。

    • gyoseishoshi より:

      コメントありがとうございます。
      親が借金を背負い、子供には借金が及ばないようにという意図でやったとしても利益相反となります。
      あくまで「行為の外形」が判断の基準だからですね。