「過料」の違いを明確にしましょう

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行政法を勉強していると時折出てくる「過料」という言葉。

この過料って、実は種類が分かれていることをご存知ですか?
これを知らないと混乱の原因になるので、今回はその違いを理解しておきましょう。

 

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前提知識

まず大前提としての知識ですが、「過料」は刑罰ではありません。
一方で、同じ「かりょう」と読む「科料」は刑罰です。
この違いは明確にしておいてください。

「過料」は刑罰ではない。

 

「過料」というのは、軽微な行政上の義務違反に対する制裁として科されるものです。

一方、「科料」は刑法に定めのある、れっきとした刑罰です。
重みが全然違います。

ちなみに「過料」は刑罰ではないので、過料と刑罰が併科されても、憲法39条に定められている「二重処罰の禁止」には該当しません

読み方が同じなので、違いを明確にするために
「過料」は「あやまちりょう」
「科料」は「とがりょう」
なんて読み替えることもありますね。

さて、大事なのはここからです。
「科料」の方は刑罰なので、裁判所が刑事訴訟法の手続きによって科しますが、「過料」は刑罰ではないので、刑事訴訟法は使われません。

では一体、どの機関が、どんな法律の手続きによって科すのでしょうか?

 

規定されている法令によって異なる

混乱しがちなのはここです。
つまり、過料と一口にいっても、何の法令に定められている過料なのか?によって、科す機関と、手続きの法律が異なるのです。

「国の法令」に定められている過料は、「裁判所」「非訟事件手続法」の定める手続きによって科します。

「条例・規則」に定められている過料は、「地方公共団体の長」「地方自治法」の手続きによって科します。

この違いは過去問でも度々出てきているので、間違えないように注意してくださいね。

 

行政書士試験では「条例・規則に定められている過料」の方が問われるハズですので、「裁判所が」「非訟事件手続法によって」などときたら「ひっかけだ!」と思うクセをつけたいところです。

また、科すのは「長」であることも要注意です。

 

そして、「条例・規則に定められている過料」の場合は、以下の知識も覚えておきましょう。

長は相手に対し、あらかじめ過料を科す旨の告知をして、弁明の機会を与えるものとされている。(地方自治法255条の3)
相手が過料を支払わなかった場合は、地方税の滞納処分の例によって処分することができる。(地方自治法231条の3)

 

「執行罰」としての過料を押さえておく

今まで説明してきた過料は、別名「行政上の秩序罰」と呼ばれています。一般的に過料といえばこちらです。

しかし過料にはもう一つ、「執行罰」というものがあります。

これは現在では「砂防法」という法律に残っているだけで、極めて例外的な規定です。(なんと、法律の改正漏れで残ってしまった、というお粗末な理由ですが、残っている以上は有効なので、学問的にはよく取り上げられます)

何が違うかというと、「行政上の秩序罰」が、違反に対する罰という過去の行為に対する制裁の過料であるのに対し、「執行罰」将来の義務の履行を確保するための過料です。

どういうことかいうと、義務が履行しなかった場合は過料を科しますよ、と予告して、心理的に履行を強制するのです。(強制執行の一類型で「間接強制」といいます)
そして義務が履行されるまでは繰り返し科すことができます。

ちなみに砂防法の規定では「期間内に履行しなかったら500円科す」という内容になっています。戦前の規定だけあって金額が安すぎですね。

 

平成29年に丸々一問出題されましたので、今後は5肢のうちの1つくらいでしか出ないかもしれませんが、過料を語る上では押さえておきたい知識ですね。

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