【問題】
Aは、Bとの間でB所有の建物を賃借する賃貸借契約を締結した。
その後Aは、Cに対して建物の修繕工事を依頼し、Cはこれを完了させたが、Cが工事代金をAに請求しようとしたところ、すでにAはBから賃貸借契約を解除され、所在が不明となっていた。
そこでCは、工事代金を建物所有者のBに対して請求しようと思っている。
判例によれば、Cの請求が認められるのは、どのようなときに限られるとされているか。
40字程度で答えよ。
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(これ以上は、解答を書いてからスクロールしてください)
【解答例】
賃貸借契約を全体としてみて、Bが対価関係なしに利益を受けたときに限られる。
転用物訴権についての問題です。
転用物訴権は主な判例が2つしかありませんので、それぞれの結論は頭の中に入れておいてください。
「転用物訴権」ってどんなものか答えられますか?
今回のテーマは「転用物訴権」です。
もしかすると「初めて聞いた」という方もいるかもしれません。
この「転用物訴権」は、言葉そのものは若干マイナーです。
しかし、その判例は「不当利得」に関する問題の中で度々問われています。
...
要件を記述で書かせるとすれば、今回出題した「ビル改修事件」(最判平成7年9月19日)の方だと思います。
ついでに結論も押さえておきますと、本判決では、Aは権利金を支払わない代わりに建物の修繕工事費用の全てを負担する、という特約が結ばれていました。
つまりBは「権利金の受領を放棄する」という対価を支払って「建物の修繕」という利益を受けているので、CはBに対して請求できないとされました。
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