「違法性の承継」は、この判例だけ押さえておきましょう

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行政行為が行われる際は、その内容や手続きが法令等に定める要件に合致していなければなりません。

しかし、時にはそうした要件が欠けた「違法な行政行為」が行われてしまう場合もあります。

通常であれば、違法な行政行為は取消訴訟によって取り消されるわけですが、出訴期間が過ぎてしまうと、「不可争力」によって争うことができなくなります。(これは「行政行為の5つの効力」でやりましたよね)

 

しかし、行政行為の中には、一つの処分だけで終わらずに、複数の処分が連続して行われるケースがあります。

すると、

●「先行の処分」に違法性があった場合に
●「後行の処分」にも違法性が承継される

ことがあります。

これを「違法性の承継」と呼びます。

そうすると、もし「先行の処分」の出訴期間を過ぎてしまっても、「後行の処分」に対して取消訴訟を提起することによって、「先行の処分」の違法性を主張することができるようになります。

ちょっとした裏ワザみたいなものですね。
これが「違法性の承継」が認められた場合のメリットです。

 

ただし、本来、行政行為はそれぞれ独立しているものですから、原則として「違法性の承継」は認められません。認められるのは、あくまで例外的なケースです。

その条件とは、先行の処分と後行の処分が、結合して一つの法律効果を実現させるものである場合(言い換えれば「目的と手段」のような関係にある場合)です。

 

判例上、認められたのは3つだけです。
細かい内容まで押さえる必要はないので、キーワードで覚えておきましょう。

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認められた判例3つ

 「農地買収計画」と、それに基づいて行われた「買収処分」

 「区長の安全認定」と、それに基づいて行われた「建築確認」

 「土地収用事業認定」と、それに基づいて行われた「収用裁決」

 

認められなかった判例1つ

違法性の承継が認められなかったものとして以下の判例があります。

× 「租税賦課処分」「滞納処分」

租税賦課処分と滞納処分は別々の目的を持った処分ですので違法性は承継しません。
ヒッカケ問題としての出題に注意しましょう。

 

違法性の承継が議論されるのは、出訴期間の制限を受ける「取消しうる行政行為」の場合であって、「重大かつ明白な瑕疵がある行政行為」の場合は、出訴期間に関係なく、そもそも無効です。
行政法
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